徴兵制度:君はこの国のために死ねますか?

 来年にはもう戦後80年になる。戦後、日本は「戦争放棄、戦力及び交戦権の否認」と憲法に明白に掲げながら、警察予備隊から始まって自衛隊となり、軍隊と言わず自衛隊として軍備の拡大を続け、今では陸海空軍を擁するどう見ても軍隊となり、終には敵基地攻撃すら可能として、現実に沖縄や南西諸島に大陸までも届く長距離ミサイルの配備を行うまでに至っている。しかも指揮命令系統を日米一体化しようと言うのである。

 しかも、いよいよ最後の歯止めである平和憲法を改正して、憲法自衛隊を明記しようとする動きさえ強くなって来ている。元法政大学の総長を務められた田中優子氏も憂われているごとく、憲法が改正されれば徴兵制が敷かれ、若者がお国のためと言われて、有無を言わせず軍隊に徴収され、アメリカのための戦いに駆り出されることになることは必定である。

 まさに憲法改正は「憲法自衛隊を明記するだけ」のものではないのである。若者の命を犠牲にして、国民を守るのではなく、国家権力に奉仕させ、アメリカのために命をかけて戦わさられることになりかねないのである。

 私はもはやそれまで生きてはいないが、先の日本の侵略戦争、無惨な太平洋戦争を生身で経験したものとして、一人でも多くの人に、この道は絶対進めてはならないことを再確認して欲しいばかりである。

 戦争はそれを命ずる者は安全な場所にいて、命令された国民が命をなくしたり、最愛の家族を奪われたり、衣食住の生活基盤を失い、不幸のどん底に突き落とされるものである。軍隊は国家権力を守るためのものであり、決して国民を守るものではないことを忘れないで欲しい。