サラリーマンの夏の制服

 夏のある朝、近くを散歩している途中、昔池田駅の車庫のあった跡に建った大型のマンションの近くを通った時、マンションの玄関から、二人の男性が出てきた。二人とも白い半袖のシャツに黒ズボン、背中に四角い大きなリュックサックを背負っている。

 同じ学校へでも通っている高校生かなと思って見るともなしに見ていたら、近づいて来ると驚いた。二人とももういいおじさんではないか。片方は髭まで生やしているのでびっくりさせられた。そうなのだ。この夏は殊にサラリーマンが皆と言っても良いぐらい、半袖のシャツに黒ズボンの服装で、パソコンや書類を入れなければならないので角ばった黒い大きなリュックサックを背負っている。従って、遠くから見たら高校生と区別がつけにくい。

 近年の狂ったような猛暑では、ネクタイに背広姿ではもうどうにもならない。それらをかなぐり捨てて半袖シャツ一枚にしたことは賛同の至りであるが、遠目には白シャツに黒ズボンでは高校生と変わりがない。

 そう思いながら注意して観察するようにしていると、電車に乗り込むサラリーマンも、皆同じ格好をしている人が多いようである。私の方はもうとっくに退職しているし、夏もこうも暑いと、外出もあまりせず、電車に乗る機会も減ったので、ラッシュ時の様子など分からないが、ラッシュを少し外れた時間帯でも、駅や電車でみるサラリーマン風の人たちは、やはり半袖白シャツにリュク姿が多いようである。

 季節の良い頃には、以前、電車の中や、梅田の地下道などでの、黒っぽい背広にネクタイ姿の、まるで制服姿のようなサラリーマンの大群が行き交う様をよく見さされたものだが、今頃はきっと、白い半袖姿で黒いズボンを履き、四角い大きなリュックを背負い、スマホを持った大群が次々と歩いていることであろう。

 どうしてこういつまでも、皆が同じ制服のような同じ格好をしているのか不思議でたまらない。他人と同じ格好をして一見目立たないようにして色々画策しないと、日本ではサラリーマンは生き辛いのであろうか。

 色のついた半袖シャツにするとか、褐色のズボンを履くとか、洒落たリュックにするとか、ちょっとぐらい個性を出しても良かろうにと思う。皆が皆、一様に白シャツに黒ズボン、それに黒い四角い大きなバッグを背負って、皆が同じ方向に動いているのを見ると、なぜか軍隊を思い出し、恐ろしい何か嫌な気にさせられるのは私だけであろうか。