沖縄での米軍人による日本人女性のレイプ事件について、政府は半年も沖縄県に連絡していなかったようで、沖縄の人々との怒りを買っている。しかしこれは沖縄だけの問題ではない。本土で起きた事件でも同様らしい。
沖縄県人が度重なる米軍人によるレイプ事件に怒るのは当然のことであるが、そうだからと言って政府がそれを知りながら、知らせず隠していたのは、政府がどちらを向いて政治を行なっているのかを問われる問題である。日本人のケースはずっと連絡が入っていたようである。
しかも、国会でそれを聞かれた上川外務大臣は「重大なこととは考えていない」と答弁。米兵による性犯罪事件について、米軍に抗議しないのかと尋ねられても、官僚原稿を読むだけの木原大臣と上川大臣。「政治家として以前に、人としてどうなんだよ」と怒りの声が上がるのは当然であろう。政府にとっては、国民の生死に関わる問題よりも、アメリカ政府や軍に対する忖度の方が優先するのである。
これが住民の反対を押し切っての辺野古基地の建設であり、アメリカの言いなりの軍事費の増強、南西諸島の攻撃基地の整備、指揮系統の統一、NATOとの連携による日本でのドイツなどヨーロッパ諸国の空軍の演習など、平和憲法に違反しても急速に軍備増強が進んでいる。最近はそれぞれの指揮系統の統一化が言われ、日米それぞれ独立だと言うが、全体の動きを見ればどうみても米軍の指揮下で、自衛隊が戦う構図になるのは必然であろう。
「憲法のどこを読んでみても、国際秩序を守るために他国と共同して指揮系統下に入って共に武力行使するという結論が出る余地はあり得ない。」と早稲田大学の長谷部恭男教授は言うが、日本はこれまでも、憲法を無理に拡大解釈するなり、無理な解釈をしてまでアメリカに追随して、言われるままに行動して来たことを見れば、それが急に変わるとは思えない。
何だか暗い戦争の影がひしひしと押し寄せて来ているように思えてならない。ここらで思いとどまらねば、この国は再び破局に突入していくのではないかと恐れざるを得ない。