武器の援助より和平の援助を

 アメリカとNATO諸国はアジアの日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドまで参加させてNATO会議をワシントンで開いたが、新聞報道によると、そこでウクライナの望むNATO加盟を今はまだ認められないが「不可逆的なもの」として承認することにしたようである。

 ウクライナが以前からNATO加盟を希望しているのに答えたものであろうが、これではウクライナに武器援助をしてやるから、もっと戦争を継続せよと言っているに等しい。

 最近ロシアのプーチン氏はインドのモディ首相との会談で「ウクライナ紛争の平和的解決が早急に必要だ」と共同声明で強調しているし、最近、ハンガリーのオルバン首相がゼレンスキー大統領と会った後に、ロシヤや中国にまで足を伸ばして、プーチン氏や習近平氏らに会って和平工作をしているところである。結果がどうなるかはまだわからないが、和平への手がかりを潰してはならない。

 現実を見ても、どう見てもウクライナが勝利して和平が訪れるなど考えられないのに、米国やNATOはまだまだウクライナに戦争を続けさせようとするのだろうか。欧米諸国が武器援助をして代理戦争をやらせるにしても限度がある。

 代理戦争でアメリカをはじめとする欧米の軍事産業は儲かるかも知れないが、ウクライナの国民のことを考えるならば、もうこれ以上に戦争を続けさせるべきではないだろう。戦争による直接〜間接的な被害は戦争が長期化すればするほどひどくなるであろう。

 この和平のムードを潰すために、ロシアがウクライナNATO加盟反対を和平条件としていることを知りながら、わざわざNATO加盟への「不可逆性の承認」などを打ち出したのであろうが、世界の人々も、恐らくウクライナの人々も、最早、戦争の早期終結を望んでいるのではなかろうか。

 軍事産業や戦争によって利益をうる人々の反対を押し切って、今こそ世界の常識ある人々は折角の和平への萌芽を活かすべく最大の努力を払うべき時ではなかろうか。