百歳のお母さんが八十歳の娘に飴玉を与える

 百歳のお母さんが八十歳の娘に飴玉を与える動画がSNSに載っていた。中国の話であったが、何とも微笑ましい風景であった。

 昔は日本でも、女性は二十歳ぐらいで結婚する人が多かったので、一世代の間隔が二十五歳としても、百歳まで生きておれば、八十歳の娘の子が五十五歳、その子が三十歳ぐらいで、その子が五歳ぐらいという事になり。もし皆健在であれば、五世代が一緒にに生きることになることになるわけである。おおばあさん、おばあさん、お母さんに、娘に孫が一緒に顔を合わすという事になる。

 ところが考えてみると、このようなことは、日本でも当たり前のことであろう。我が家でも、世代間が少し開き過ぎているが、妻が89歳、娘が63歳と59歳。下の子に孫がいて、29歳と28歳になる。孫たちは二人ともまだ独身だが、年から言えば、もうひ孫がいてもおかしくない年齢である。

 私の父が90歳を超えてから、ひ孫がいないのを嘆いていたし、以前に小学校のクラスメートが大勢の子や孫、ひ孫たちに囲まれて、真ん中でにっこり微笑んでいる写真を見せていたことがあるが、いつしか時代はすっかり変わってしまった。九十歳を超えても、父同様、ひ孫はいないし、大勢の家族に囲まれることもなく、女房と二人、老人だけで細々と暮らしているのが現状である。最近、下の娘が帰ってきてくれたが、あとの娘や孫たちは皆アメリカやヨーロッパにいる。時代の変化に驚かされる。

 5月14日は母の日だったので、こういう話題が多く取り上げられたのであろうが、日本に帰ってきた娘の所には、孫たちからのバスケット一杯のワインやチーズ、それにアメリカ特有の甘いお菓子などのパックが届けられていた。日本の母の日のカーネーションだけと違って、アメリカでは日本より進んだ商業主義に乗せられて、細やかなカーネーションなどでは済まず、母の日も派手なパーティやプレゼントで賑わうようである。日本でも、やがてはそうなって行くのかも知れない。

 それにしても、すでに還暦になった子が、傘寿の母親と白寿の祖母の面倒を見るなど、考えて見るだけでも恐ろしい姿である。社会的な介護体制を作って、安心して年を取ることが出来るようにすることが大事だということがつくづく分かるのではなかろうか。