ウクライナの戦争をやめたくないのは誰か?

 現在、一番ウクライナの戦争を止めたくないのは誰だろうか?

 ロシアがウクライナに侵攻してから最早1年3ヶ月以上も経つのに、未だにいつ戦禍が止むのか見通しさえ立っていない。世界の人々は早く戦争が終わり、平和が戻ることを望んでいるが、ゼレンスキー大統領は失地を全て取り返すまで戦うといい、アメリカやNATOも、次々とウクライナに兵器を送って戦を煽り、折角の中国の和平提案をも拒否して、戦いを続けさせようとしている。

 客観的に見れば、如何に西欧側の援助があっても、ウクライナから完全にロシアを排除することは困難であろうし、出来たとしても、長期間の戦争を経過しなければならず、ウクライナの国民の犠牲や国土の荒廃、この戦争による世界的な経済的影響なども膨大なものとなるであろう。

 中国の中立的な和平提案ばかりでなく、ブラジルも仲介役に乗ると言っている。恐らく、トルコなどが仲介役に加わってくれる可能性も強い。ただ、アメリカがそれに反対し、ゼレンスキーも表面的にはアメリカに同調している。ただ、NATOアメリカに従っているが、フランスのマクロン首相はヨーロッパの第三極論なども提示している。

 アメリカはかっての国連憲章無視のイラクアフガニスタンへの侵略の過去を見れば、ロシアを一方的に非難する資格はないであろう。ここらで、ウクライナへの武器の支援を辞めて、和平への道を模索すべきであろうが、現実には、全くその気配がないどころか、ますます武器の供給などを増やし、戦いを長引かせようとしている。

 アメリカの国連無視のロシアの侵略が許せないという主張はよく分かるが、それよりアメリカにとってのこの戦争は、まさに「代理戦争」とでもいうべきものであり、アメリカが前面に出ることなく、世界戦争を避けながら、中近東での痛い経験に照らして、自国の兵の血を流すことなく、ゼレンスキーの尻を叩いて戦を継続させ、武器の供給援助に徹して居れば、アメリカの軍需産業は儲かるし、ロシアからの石油の供給を絶って、NATO諸国に自国の石油を高く買わせるなどして、石油産業も笑いの止まらぬ大儲けになっているのである。

 ここでは軍需産業のことはさておき、石油産業についてだけ述べるが、インドのテレビによると、エクソンモービルはこの戦争で2000億ドルの純利益を得、最高経営責任者であるダレン・ウッズ氏の給与は52%も上がり、一人で3600万ドルになったとか報告している。あまりにも高額な利益にバイデン大統領にさえ、「エクソンは神より儲けている」と言わしめているそうである。もちろん、他の石油会社の儲けも同様で、シェブロンやシェルも過去最大の利益を上げており、1時間に630万ドルの儲けだそうである。

 これだけ儲けがあっては、無理強いしてでも戦争を続けたくなるのではなかろうか。多くの人々の命が犠牲になり、社会が崩壊する悲劇の裏で、かかる大儲けにほくそ笑む人々のいるシステムをこそ問題にすべきではなかろうか。