イラク戦争から20年

 3月20日イラク戦争が始まった日である。丁度、20年前のこの日、アメリカはイギリスを乗せて、フランスなどの反対を押し切り、国連の支持もないままに、イラク大量破壊兵器を隠しているという口実で、イラク侵略を開始したのであった。

 米英の圧倒的な力により、たちまちイラクは占領され、サダム・フセイン大統領は殺害されたが、大量破壊兵器は発見されず、90万人以上の人たちが殺され、国は無茶苦茶にされ、20年も経った今もなお平和は齎されず、人々は混乱の中に放置されたままである。このイラク戦争により、「国際社会には正義や真実がなく、アメリカは他国を批判する立場にない」という考えが強まったことは否めない。

 そのアメリカが、現在、NATO諸国に呼びかかけて、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、大々的な軍事援助をして、ロシアのプーチン大統領戦争犯罪人にまで仕立てているのである。ロシアの侵略行為は非難さるべきであるが、アメリカが自らの過去の行動を省みるならば、そんなことを言えたものであろうか。前例を作った張本人が同じような行動をとったロシアを非難出来るものでないことは誰の目にも明らかであろう。

 アメリカやNATO諸国以外のインドや中国、アラブ諸国その他の広範な第三国群がアメリカのロシア非難の呼びかけに乗らなかったのは当然のことであろう。しかも、今必要なことは、ウクライナへの軍事援助を続けて戦火の油を注ぐことではなく、ウクライナの国民の苦しみを救うために、まずは戦闘をやめさせ、和平への努力を優先させるべきであろう。

 アメリカは武器援助などによる代理戦争で自国の軍需産業に大儲けさせるのを止め、平和への道筋を探るべきであろう。中国が和平案を出し、習主席がモスクワを訪問して、仲介の労を取ろうとしていると言われるが、少なくとも、アメリカはそれに反対せず、ウクライナのゼレンスキー大統領を説得して、和平の構築に協力すべきであろう。

 それがアメリカの過去の過ちを正し、世界の大国であり、世界の指導者に返り咲こうとするアメリカの取るべき態度ではなかろうか。