ロシアがウクライナへ侵攻してからもう1年を過ぎてしまった。ロシアの戦争は決して許されることではないが、ウクライナに武器を支援して、火に油を注いでいるアメリカやNATO諸国の行為も非難されるべきものであろう。
ゼレンスキーを唆かし、最後まで徹底抗戦すると言わせ、アメリカやNATO諸国が武器の支援する代理戦争は、そう簡単にはけりがつくようなものではない。客観的に見れば、ロシアは核保有国でもあり、外部からの軍事援助があっても、ウクライナが簡単に勝てる相手ではないことは明らかである。イラクやアフガニスタンが簡単にアメリカに勝てないのと同じようなものである。軍事援助はいたずらに戦を広げ、間違えれば第三次世界大戦、ひいては世界の滅亡にさえ繋がりかねない。
アメリカは正義を振り翳して、武器を売り、この代理戦争で大儲けをしているかも知れないが、過去を振り返れば、アメリカも大きなことを言える国ではない。過去の半世紀以上にわたって世界の警察官のような顔をして、あちこちで侵略行為を繰り返し、つい先刻、敗北してアフガニスタンから撤退せざるを得なくなったばかりではないか。
この戦争で一番被害を受けているのは、言うまでもなく、故郷が戦場になり、家族が殺され、家を壊され、生活を破壊されているウクライナの人々である。ゼレンスキーが徹底抗戦を叫ぶのも理解出来なくはないが、現実の問題として、いかにアメリカの援助があったとしても、ウクライナが一方的に勝利して戦争が簡単に終わるようなことは考え難い。
戦争が長引き、過酷になればなるほど、ウクライナの人々の犠牲は大きくなるだろう。多くの人が殺され、傷つき、国土の荒廃もひどくなることは必定であろう。国家と国民は別である。何としても、一人でも多くのウクライナの人々の命を救うべきであろう。
ウクライナの人々を救うためには 先行きの見えない武器の援助を続けて被害を大きくするより、話し合いで平和を取り戻すことを考えるべきであろう。ただし現状では当事者間だけでは無理だし、今の状態では武器の援助で半ば戦っているようなアメリカやNATOが和平を呼びかけるのも無理だろう。それ以外の第三者が仲介して、先ずは兎に角、戦争を止めさせるように働きかるしかないであろう。
これまでトルコなどによる仲介は失敗したが、幸い中国が最近平和交渉についての中国の考え方を発表した。ロシアもウクライナもすぐには受け入れられないかも知れないが、アメリカやNATOも先ずは軍事援助を止め、両者の停戦を求め、平和交渉に導くべきであろう。
この戦いに至る客観的な矛盾が簡単に解決出来るものではないことが明らかなだけに、容易に話し合いが纏まるものでないことは理解できるが、ウクライナの人々の命と生活を守るためには、先ずは現状をストップさせて、戦ではなく、話し合いで解決すべく関係国が努力を始めるべきであろう。
今回、中国が発表した「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」と題する文章は合計12項目からなるが、強調したのは先ずは「戦闘の停止」である。次いで「各当事者は理性を維持し火に油をそそぐことをせず、ウクライナ危機のさらなる悪化を回避すべきだ」としている。
ロシアとウクライナの「出来るだけ早い直接対話」を呼びかけ、国際社会が和平に向けて協力すべきだと指摘し、中国も関与を深める構えを見せた。核兵器の使用や原子力発電所への攻撃に反対を表明し、生物化学兵器の研究開発や使用もすべきではないとも主張している。
また、ロシアへの制裁に反対する考えを示し「一方的な制裁や極限の圧力は問題を解決出来ないばかりか、新たな問題を生み出す」と言及し、米欧日のロシア制裁を批判してもいる。
その上、ウクライナ情勢の終局を見据えて「戦後の復興を推進する」ことをも提案している。国際社会が戦後復興を支援する措置をとるべきだと訴えた上で、「中国は協力し、建設的な役割を果たす」とも言っている。
我が国もアメリカのいうなりに軍事援助には加わわらず、中国と一緒でも、そうでなくても良いが、火に油を注ぐようなことをするより、ウクライナの人々を本当の救うために、平和への努力に加担すべきではなかろうか。