2023年 ”今年の抱負”

 まずは新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 今年で数え年で言えばもう九十六歳になります。こんなもう棺桶に片足突っ込んだ様な老人に大きな将来の抱負などあろうはずもありません。

 しかし、これだけ長く暮らしてきた日本の国であり、故郷でもある。譬へこちらは死んで”無”になっても、やはり故郷のこの国の末永い発展と人々の平和と幸福を願わないではおれない。

 最近の我が国は本当に歯痒いぐらいに情けない。戦争に負けてアメリカの従属国になってしまい、もう77年も経ってしまった。

 無謀な戦争に負けて、疲弊し切ってしまったこの国は、もう2度と立ち上がれないかと絶望の底にあったが、幸いにも、アメリカの朝鮮戦争ベトナム戦争の後方基地となったおかげで再興し、ひと頃はJAPAN as No 1と言われるまでにもなったが、それも束の間、その後ここ30年は、経済も停滞し、新しい世界の進歩からも遅れがちで、今やアジアの中の一国に過ぎなくなりつつある。

 少子高齢化が進み、人口も減り、戦後の民主主義も次第に形骸化し、アメリカの従属関係が憲法に優先し、政治は歪み、人々の将来の希望も見え難くなってきている。

 そんなところにコロナに何年も振り回され、アメリカの対中國政策に乗せられて大量の武器を買わされ、平和憲法を破ってまでして、敵基地の先制攻撃まで可能にし、戦争を近づけている。このまま進めば、いつか国内の平和も破られてしまうであろう危機に瀕しかけている。

 やはり自分がいない国になったとしても、もう一度戦争になって、この国や大阪が再び戦に巻き込まれて、大勢の人たちが死に、焼け野が原になり、人々が飢えて亡くなる様な世界にならないことを痛切に願うばかりである。

 大袈裟ではない。戦争は急に始まるものではない、まだいいか、まだ間に合うかと思っているうちに、ある時点を過ぎると、もう誰にも止められなくなって、破局へまっしぐらに進んで行ってしまうというのが過去の苦い経験である。

 私には再び廊下の端に兵隊が見え隠れしてきている。どうか、この国が独立して、折角の平和憲法を守り、平和で幸福な国であり続けて欲しいと思わざるをえない。

 今年の抱負としては格別何もないが、強く思うのは以上の様なことである。