ハラスメントの種類

 最近はセクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントが問題となって騒がれることが多いこともあり、セクハラ、パワハラなどと略されて言われることが多くなった。

 昔から長い単語は略して用いられることが多いもので、例えば地名でも上本町二丁目なら上二、役所でも経済産業省なら経産省、駅名でも名古屋駅なら名駅という具合で、それが広く使われているうちに、簡略系が本物や、本物がわりになってしまうことも多い。

 本来は阪神急行電鉄だったものが阪急になり、近鉄も今では近畿日本鉄道などと呼ぶ人はいない。漢字の羅列でもそうなのに、最近流行りのカタカナ名詞となると、余計に長くなることが多いので、当然短縮形が使われることになる。

 短縮する場合、英語などでは頭文字だけにすることが一般的であるが、日本では昔からの習慣で、漢字の羅列を詰めて簡略化することになる。その習慣からか、カナ文字の羅列の場合でも頭からのいくつかの文字を取り出して簡略型を作ることになる。パーソナル・コンプピュータはパソコンに、スマートフォーンはスマホという具合である。

 そんなことから、パワー・ハラスメントはパワハラに、セクシャル・ハラスメントはセクハラとなるわけで、一旦それが出来上がると、その同類の言葉も自然と言いやすい短縮系に変わることになる。 日本語では4文字の言葉が多いので、短縮系も4文字になることが多い。

 ただ、ここで問題となるのは、漢字は表意文字なので短縮型になっても、短縮された一文字からでも意味が読み取れることが多いが、カタカナように表音文字となると、短縮されると、意味がわからなくなることが多いし、他の短縮型と同じ言葉にになってしまい混同されがちにもなる。

 セクハラとかパワハラのようにその時代で社会的に大きな問題になったものは、やたらとと使われるうちに、短縮形が便利なので幅をこかせてしまい、元の言葉が忘れられてしまうようになり、意味は推測するよりなくなろ。ハラスメントには色々な面でのハラスメントが多いので、それぞれが省略形になると**ハラという言葉がやたらと多くなる、そうなるとハラはハラスメントだとわかっても、上につく文字はそれぞれに略されたものなので想像さえ付きかねない。

 新聞などでしばしば取り上げられるものは、すぐ多くの人に理解して貰えるが、一部の人にしか関係しないようなものは、短縮されるともう何のことか分からなくなることが多い。

 知人の若者がSNSに「リハ終わった」と書いていたので、あわれ腰痛でも起こしてリハビリ治療を受けていて、それがが終わったのかと思ったら、リハーサルが終わったということであったようなこともある。

 最近たまたまSNSを見ていると、ロジハラ、エンハラ、テレハラ、ヌーハラと書かれていた。テレハラは電話ででのいじめぐらいかなと思ったが、後の三つは如何なるハラスメントか想像もつかない。

 今流行っている言葉だろうから、Googleで調べれば分かるだろうと思って調べてみるとすぐに分かった。ロジハラはロジカル・ハラスメントで、いわば正論を振り翳して相手なり周囲の人なりをいじめること。

 エンハラはエンジョイ・ハラスメントで、仕事上の自分の楽しみを周囲に押し付けること、例えば、早朝に出勤したら邪魔が入らず能率が上がることを喜んだ上司が、部下にも自分の楽しみを強要するようなことらしい。

 テレハラはテレフォンではなく、テレワークで背景に映る部屋の様子などで、いじめることらしい。ヌーハラというのはヌードルハラスメントで、麺を食べる時に音を出して啜るのを嫌う人が、それを指摘して嫌がらせるものを言うそうである。

 Googleでその時知ったのは、まだまだ色々なハラスメントがあるようで、五十のハラスメントなどという項目まであった。以下にそのいくつかを並べるので、どれだけお分かりか試してみてはいかがでしょう。

 リモハラ、ソーハラ、エアハラ、ブラハラ、カラハラ、マリハラ、アカハラアルハラドクハラ、スメハラ、パーハラ、フォトハラ、ジェンハラ、カスハラ、マタハラ、モラハラ・・

 最後にハラハラというのまであった。これはハラスメント・ハラスメントの略で、自分が不快に思ったことを過剰にハラスメンだと主張していじめることだそうである。言葉の上だけでも如何にハラスメントが多く、人々の関心を引いているかが判ろうというものである。興味があれば、ご自分で調べてみて下さい。