岸田首相のチョンボ

 安倍元首相の国葬問題で、旧統一教会の問題も絡み、岸田首相は国会開催の要求には答えない中での、閉会中の国会での説明をせざるを得なくなった。一旦閣議決定をして国葬をすることに決めた以上、今更止めるわけにも行かず、世論調査による支持率も下がり、危ない橋を渡っている。

 誰が見ても憲法にも反し、多くの国民の反対に逆らってまで、安倍元首相の国葬をしなければならない必然性はない。手続きの問題だけでなく、多くの国民にとって、安倍内閣時代の森、加計、桜問題や、182回にも及ぶ国会での虚偽答弁などもそのままになっているし、更には安倍元首相こそ、祖父の時代からの旧統一教会自民党の関係の大元と考えられているのである。

 その問題の多かった元首相が銃撃死されたからといって、最長期政権だったにしても、国葬にするというのは、まるで多くの国民の思いを逆撫でするような行為である。

 おそらく岸田首相も「しまった」と思っているに違いない。多くの困難に逆らってまで国葬をして得るものがどれだけあるだろうか。内閣の今後の政治の動向を考えても、無用な国民の反対を抑えてまで国葬を強行することが、内閣にとってプラスになるとは考え難い。本音の所では、国葬を決めるのを早まったと思っているるのではなかろうか。

 国葬は安倍元首相が銃撃死を遂げてから十日位しか経っていない時に急遽決められたのである。当時の噂では、安倍派の下村氏が国葬のことを言い出し、安倍派との協調を今後の政策運営の柱にしようとしていた岸田首相がそれに乗って、早々に決めてしまったもののようである。

 まさか、これだけ国民の反対が多くなるとは思っていなかったのであろう。その頃はまだ今ほど自民党の議員たちと旧統一教会の問題も表面化していなかったので、そこまで考えなかったのではなかろうか。

 それが今日のような問題になるとは予想していなかったのであろう。岸田首相の完全な「チョンボ」である。そのため支持率は下がるは、旧統一教会の問題で自民党の内部もややこしくなってしまっている。これを乗り越えて行くのは大変なことである。下手をすれば、政府の崩壊にも繋がりかねない。

 旧統一教会の問題は、元々安倍元首相の祖父である岸信介以来3代にわたる結びつきから始まっているもので、旧統一教会の問題を解決しようと思えば安倍元首相との関係の解明が欠かせないが、安倍氏を追求して、その安倍元首相を国葬にするわけにも行かない。そうかと言って、旧統一教会問題をそのままにしておく訳にも行かない。

 世論の圧力で旧統一教会自民党の関係を明らかにせざるを得なくなったが、安倍元首相の調査には頑として応じないのは当然であろう。なんとか表面的な取り繕いで、この場を凌ごうとしているのが現状であろう。

 しかし、政府の表面的な処理が自民党内の混乱を引き起こしていることも十分考えられるし、国葬は今更国民の反対を押し切ってやらざるを得ないだろうが、それによって生じるであろう混乱が政府をどこへ押しやるか分からない。これだけ大きくなってしまった旧統一協会問題の処理も問題であろう。

 国葬を強引に乗り切っても、旧統一教会問題はそう簡単には片付かず、長引くであろう。岸田内閣の前途は多難である。さてどうなることやら。お手並み拝見というところであろう。