アメリカからの安倍首相暗殺の第一報

 7月8日の昼頃から夜までは、奈良県参議院選挙の応援演説に来ていた安倍首相の暗殺事件が起こり、テレビも新聞や他のメディアも、このニュースで一日中持ちきりであった。犯行の動機など詳しいことはまだわからないが、犯人が元首相の政治的な動向などとは関係がないと言っているところからすると、どうも日本でのこれまでの政治家の暗殺や殺傷事件の度に出てくる、右翼がらみの事件のようである。

 まだ委細は分からないが、以前に山口県の安倍事務所における右翼がらみの事件もあったことだし、自民政権の暗部にはいつも右翼の影が付き纏っているので、裏の社会が関わっているのではなかろうか。安倍元首相の祖父の岸信三も右翼に腿を刺される事件があった。闇の世界のことはわからないが、その奥にはアメリカの諜報機関が絡んでいることもあるようなので、ひょっとしたら、奥には深い闇が漂っているのかも知れない。

 いずれにしても卑劣な暗殺は社会的に許されるべきものではない。亡くなった元首相には数々の疑惑の解明などを傍においても、哀悼の意を表さないではおれない。戦前の軍部による政治家を狙った暗殺事件喉も思い出されて嫌な感じがするのを禁じ得ない。

 それは兎も角、この事件はテレビの解説によると、8日の午前10時を過ぎて、安倍元首相が大和西大寺駅前に到着し、駅前のロータリーで演説を始めたのが10時19分で、その直後の10時20分に二発の爆発音が聞こえ、男が自製の銃で背後から狙撃し、元首相が血を流し、心肺停止状態になったと言うことらしい。

 そのニュースを最初に私が知ったのは日本に帰っている娘からであったが、娘が知ったのは何と事件直後、まだ10分しか経っていない、10時半のことだという。アメリカにいる孫からSNSで知らせが入ったのだそうである。

 こちらのテレビが騒ぎ出したのはそれから後のことである。昨年、大学を終えた孫がワシントン・ポストに勤めており、夜の仕事をしているので、職場で事件のことを知り、すぐに母親に知らせてくれたもののようである。 

 事件が起きて10分と経たないうちに、ニュースは日本から遥か彼方のアメリカの東部まで飛び、それが日本に帰って来たのである。大和西大寺駅といえば、たまに利用することもある、さして遠くない場所で、駅前の様子もある程度想像がつく所である。そこでの出来事が、直接大阪の我々の耳に入るより、地球を半周もしてアメリカまで飛び、それが戻って来る方が早いのである。

 電波の往来の盛んな現在、何も驚くべきことでもないが、現実にすぐそこでのニュースがアメリカ経由で日本国内のニュースより早く戻ってきて聞かされたのには、やっぱり驚かざるを得なかった、現在の社会では、情報が瞬時に世界中に伝わっているのだなと言うことを実感させられた。