電力不足、原発電源再開せねば???

 この春頃から政府は急に東電管内の電力需給状況が逼迫しているからと、緊急情報を出したり、この2−3日は、異常とも言える温度の夏の到来に合わせて、東電管内では電力需給が切迫しているので、クーラーや冷蔵庫の温度設定を上げて節電に協力するようテレビなどで呼びかけている。経済産業省では節電した者への補助金やポイントまで考えられているようである。

 熱中症対策で「躊躇せずにクーラーをつけ、水分補給を頻繁にしましょう」とテレビで広報しているところに、今度はクーラの温度を上げて節電せよでは、熱中症に弱い老人たちは戸惑うばかりである。

 原発事故のようなことがまた起こったわけでもなく、昨年まではそんなことを何も言わなかったのに、突然に電力不足と言われても、何故なのか国民は不審に思わざるを得ない。

 特別の事故でもまた起こったと言うなら分かるが、コロナに苦しめられていたこの2〜3年、電力をめぐって特別のことがあったわけでもないのに、どうして急に電力不足が起こったのであろうか、不思議に思うのが当然であろう。

 電力の供給は水道などと同じく、社会の基本的な共通資本であり、国が国民に安定供給をする義務があるものであり、日本では、それをすべての電力会社が責任を負って供給することになっているのである。電力会社はその責を負って、常に国民に安定した電力の供給をする義務があるのである。

 今回の需給逼迫の原因としては、春の福島沖の地震による火力発電所の損傷とか、電力自由化に伴う合理化による能率の悪い旧式の火力発電所の廃止、それに今年の夏の異常気象などが挙げられているが、これらは全て予見可能なものである。当然、それらを見越して電力の安定供給を図るのが電力会社の務めであろう。

 電力の自由化で競争が激しくなったことがあっても、電力の安定供給を最優先すべきは当然で、その上での対策が取られるのでなければ、電力会社の怠慢、あるいは能力の欠如と見られても致し方なかろう。

 そういう努力をせずに、十分な電力供給が出来ないからといって、それを顧客である国民に転嫁し、電力使用の我慢を強いるのは本末転倒であろう。コロナの場合に、国民が政府の要望を素直に聞き、協力してくれたので、電力不足も、国民に節電の協力をして貰えれば、乗り越えられるだろうと思うのはあまりにも安易な考え方ではなかろうか。

 ひょっとしたらそうではなくて、もっと遠謀深慮があって、この際、国民に電力逼迫による不便や不都合を味合わせて、電力不足を克服し、安定した電力供給を維持するには、やっぱり原発の再稼働が必要だとする結論に導き、再稼働を強いる思惑が隠されているのではないかと疑いたくなる。

 騙されてはならない。危険な原発はやはり全廃すべきである。原発事故の跡は未だに回復していない。この教訓を生かし、自然エネルギーその他の代替エネルギー源の利用で、地球温暖化防止CO2削減しつつ、安定した電力供給の道を進むべきである。

(2022.07.04)