ロシアのウクライナ侵攻以来、日本のテレビもそのニュースで持ちきりである。毎日のようにアメリカのバイデン大統領や、ホワイトハウスの高官や報道官などが出てきて、ロシアを非難しているので、それを聞いていると、てっきり、アメリカがこれまでの続きで、また戦争を始めているのかと錯覚してしまいそうである。
確かに、これはアメリカとロシアの争いであるが、今回はアメリカが巧妙に動き、自分は戦争せずに、ウクライナを前面に立てて戦争させ、自分は埒外に立って、世界中に呼びかけて、侵略者はロシアだ、プーチン大統領は戦争犯罪者だとまで言って非難している。
まるで正義の味方のような顔をして、世界中に呼びかけ、経済制裁に同調させている。更には、それに乗らず中立的な態度をとる中国やインドの対しては脅しまでかけている。
武力によって問題を解決しようとするロシアの侵攻は決して許せないが、果たして、この戦いはロシアだけが悪いのだろうか。ロシアがウクライナへ侵攻するまでの過程を見れば、ロシアを戦争にまで追い込んだのがアメリカであることがわかる。
もともと東西ヨーロッパの壁が崩壊し、ソ連邦が解体した時に、NATOは拡大しないという約束があったのに、アメリカの率いる西欧側はNATOをどんどん広げ、遂にはにウクライナの親露政権を倒して、反露政権を作り、アゾフ軍団などのネオナチ軍団を育てて、ウクライナの国内を混乱させ、ウクライナのNATO 加盟まで日程にのぼすに至ったのである。
ロシアにとってのウクライナは、歴史的にはキエフ・ルーシの時代から同じ起源を持つ国であり、第二次世界大戦でも最も激しい独ソ戦が戦われた地方であり、首都のモスクワからも遠くない、ロシアにとってはかけがえのない大切な土地でもあるのである。そこに反露政権を許すわけにはいかないのである。
ロシアのウクライナ侵攻についてウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会で演説した時に、ロシアの侵略を日本の真珠湾攻撃に当てはめて説明したしたのに対して、日本のネトウヨたちが一斉に反論していた根拠が、日本は進んで戦争を始めたわけではなく、アメリカに石油や屑鉄の輸入を止められ、自衛のため仕方なく開戦に踏み切ったのだということであったが、それはそのままロシアのウクライナ侵攻の理由に重なるのではなかろうか。
アメリカは恣意的にロシアを追い詰め、侵略が始まる直前になると、バイデン大統領は自信満々に「ロシアは必ず侵攻する。侵略すれば深刻な経済制裁だぞ。何月何日だ。」と日まで限定して、侵略を煽ってさえいたのを覚えている。
日本のメディアの報道は殆どがアメリカの宣伝に乗せられたものなので、まるで何もなかった平穏なウクライナに突然ロシアが侵攻したのであり、ロシアは悪者だ、プーチンは戦争犯罪人だという一方的な宣伝があまりにも広く拡がっているが、いくらプーチンが独裁者だと言っても、何の理由もなく平和な国に、いきなり攻め入るようなことはないであろう。
今回のウクライナの戦争では、アメリカは戦いには加わらずに、ウクライナへ援助だと言って大量の武器援助をするだけでなく、NATO諸国にも新たに多額の高額兵器を押し付け、大儲け出来る立場だが、ロシア制裁を強制される西欧諸国にとっては、これまで頼ってきたロシアからの石油やガスの供給をたたれることにもなり、経済制裁の反動がどれだけ降り掛かってくるかわからないまま、無理矢理アメリカに従わせられることになっている。
これまで、ベトナムやイラク、アフガニスタンなど自国から遠く離れた国にまで出かけて行っては侵略し、はるかに多くの人々を殺害して来た国の大統領が、今度はまるでそんな歴史などなかったかのような顔をして、ロシアを責め、プーチン大統領を人でなしと罵っている姿は、誰かに操られている天井の喜劇役者のように見えて仕方がない。
ただここで注意しておくべき点は、ウクライナで戦わずして儲ける方法を学んだアメリカ政府が、アジアで成長著しい中国を目の敵としている事である。
アメリカからすれば、日本は前線基地であり、前線基地は攻撃のためのもので、不利とあらばいつでも逃げられるが、日本は逃げられないことも考えに入れておくべきである。
日本がアメリカに言われるままに「敵基地攻撃能力」までつけさせられると、将来、アメリカの尖兵として、日本もウクライナのような目に遭う公算が高くなる。
アメリカは自らも認めている「一国二制度」や、世界大戦を避けるためにい、台湾では自らは戦わず、日本に戦わせ、武器だけ売りつけて儲けようという算段に走るかも知れない。