政治ショウ

 

 ロシアのウクライナ侵攻について、450万人とも言われる国外への避難民の実態などの視察に、林外務大臣ポーランドへ視察に出かけたが、その帰途に日本への避難希望者20名ばかりを同じ飛行機乗せて連れ帰って来たそうである。

 これまでにも既に日本の親族らを頼って来日した人も404人いるそうで、高騰している航空券を苦ろうして自費でやっと来た人と、今回便乗させてもらった人たちとの公平性なども問題視されているようだが、自国からこれだけ離れた知らぬ国に自費で逃れてくる人は今後もそう多くはいないであろう。

 それにしても朝日川柳にも「桁いくつ足りぬ避難者20人」とあったように、わずかな人数を大臣専用機に乗せて連れ帰るなど、政治ショウとしか言いようがない。かって、イラク戦争の時に、ブッシュ大統領に言われた”Show the flag”を思い出して、演出したものであろう。自費で苦労して日本にたどり着いた人とあまりにも格差が酷すぎる感じも拭えない。

 それに日本は難民鎖国の国である。今回連れ帰った人たちは「難民」ではなく「避難民」であり、「紛争を逃れた人を現行の仕組みで速やかに救済する前例のない措置」なのだそうである。これを機会に難民鎖国が解消される突破口になれば良いが、あくまで特例にこだわっているところから見ると、これからの難民救済の手本となるようなことは期待が薄いであろう。

 新聞の解説によれば、難民には難民条約に基づく「条約難民」、条約の基づかない「定住難民」などの区別があり、日本の条約の解釈は厳しく、その認定ハードルが高いのが有名で、今回も一時的な避難で戦争がが終われば帰国するであろうと読んでいるようである。

 少子高齢化で人口減少が進み、外国人労働者の手を借りねば産業がうまく回らないところまで追い詰められているのに、何故かあくまで移民を嫌い、スリランカのウィシュマさんの事件のような問題を繰り返しながらも、一向の改善しようとしない政府の態度からすると、今回の避難民の受け入れも単なる”Show the flag”で日本の貢献を示し、アメリカへの忠誠を誓うものに過ぎないであろう。

 朝日新聞4月5日の「かたえくぼ」欄には、「こちらにも大勢いますーーーミャンマー・アフガン  日本政府どの(東京・HAL)というのもあった。