怒ろう!突然の電力不足

 3月22日、政府は突然、電気の供給が足らなくなりそうだというので「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」による節電を呼びかけた。

 16日に発生した福島県沖の地震で一部の火力発電所が停止し、悪天候太陽光発電もほとんど見込めない。そこへ季節外れの冷え込みが重なった。22日の東京都の最高気温は平年を大きく下回ってみぞれや冷たい雨が降り、暖房などの電力需要が「この時期としては異例の高水準となった」のが原因と言われ、black outを避けるため、この警報が突然出されたもののようである。

 警報自体は仕方がなかったことであろうが、特別に大災害が起こったわけではなく、きっかけはいずれも、平素でも十分ありうる発電所の事故や気候変動である。それにもかかわらず電力需給逼迫警報を出さねばならなくなったのは何故か?その原因の追求と責任の明確化、二度と起こさないための対策が明らかにされるべきであろう。

 今回は22日時点で、原発5基分弱に相当する火力8基454万キロワットの供給力が失われたと言われるが、この警報システムが作られたのは東日本大震災が契機だったそうで、その時の経験を踏まえれば、この程度の供給力の減少の可能性は十分考慮に入れて、供給不足が起こらないように、ゆとりを持った準備をしておくべきではなかったのではなかろうか。

 電力の供給は上下水道などと共に、国民の生存に不可欠な社会的共有財産であり、国が責任を持って供給を確保すべきものである。国民はそのために税金を払っているのだとも言えるであろう。軍事費や、ましてやアメリカ軍への思いやり予算などより当然優先して整備されるべきものであろう。

 萩生田光一経済産業大臣が国民に節電を呼びかけたが、まるで、コロナの非常事態の時の要請のような感じがした。暖房は低めにし、寒くても家族はなるべく一ヶ所に集まって暖房を取れとか、パソコンも画面を暗くせよとか、細かい協力要請まであったが、政府の責任についての釈明や謝罪は全くなかった。

 それにもかかわらず、国民からの反発や責任追及の声もあまり聞こえて来なかっようである。日本人はどこまで”お人良し”なのだろう。政府はこの失政を認めようとはしないばかりか、勘ぐれば、これを機会に「こういうことがあるから原発の再稼働が必要だ」と言い出す積もりかも知れない。原発を動かすために、ゆとりのない電力事情をわざと維持して来ているのかも知れないと邪推もしたくなる。

 いずれにしても、国民生活に必須な電力の供給に、こんなことが二度と起こらないように政府や電力会社は早急に動いて、気候変動や事故をも考慮に入れた、十分ゆとりのある電力の供給が続けられるようにする義務がある。電力会社ばかりでなく、最終的に政府が国民にその義務を果たすべきである。

 国民も政府の言うままに、ただ黙って言われるままに協力するだけでなく、二度とこういう事態を避けるために、もっと政府に対して声を揚げげるべきであろう。