トイレは外で

 年末の土曜日の朝、散歩して隣町のターミナルまで行った。10時少し前に着いたので、少し待って、駅の隣のビルの本屋に行った。新書版の本のコーナーを覗いてから、本屋の裏のあまり目立たない所にあるトイレに行った。

 先にトイレに歩いて行く人がいたので、その後について行った。トイレには、男子用の個室が二つあったが、片方はすでに誰かが占拠していた。先を歩いていた人は空いていた方の個室に飛び込むように入ったが、私がトイレの着いた時には、まだ扉も開けたままで中で突っ立ていた。どうしたのかと一瞬思ったが、その人はすぐにそこから飛び出して、廊下を引き返して行った。

 そこは和式だったので、諦めたようだった。私は小用だったので、それなりに済ませていると、すぐ後から若い男が入ってきて、その和式トイレを覗いて、すぐに諦めて引き返して行った、

 私がトイレから出ようとすると、またまた、別の男が入って来て、同じように個室を覗き込んでいた。私はそのまま出てしまったので、その男が個室を利用したかどうかは知らない。ただ、この短い間に四人もの人が、次々とビルの4階の、しかも本屋の裏にある余り目立たないトイレに、それも休日の開店早々に来ていることに驚いた。

 ビルは10時会場で、私は開くと同時に入って本屋に行ったのである。ビルが開いてからトイレに行くまで5分か10分位しかたっていない筈である。そんな時間に、続いて四人もの人がわざわざ4階まで上がって来て、本屋を通り抜けて裏のトイレにやってくるとはどういうことなのだろうか。

 土曜日の朝の10時である。この頃は家で朝食の後、トイレに行く習慣のない人が多いのであろうか、トイレは外で利用するものと決めているのであろうか。普通に考えて、ゆっくりした休みの日だから、出掛けるにしても、急ぐことはないだろうから、開店を待ってトイレに駆け込まなければならない人がこんなに多いのは不思議な気がする。

 思い出せば、最近は大阪駅新大阪駅などの大きな公衆トイレに行くと、男子トイレは個室に長蛇の列が出来ていることが多い。小用を済ませようとすると、その長蛇の列を通り越さねば、朝顔に辿り着けないようなことが多い。

 列車の待ち合わせ時間を有効に使おうとしているのであろうこともわかるが、最近は用を済ませるのは外でと決めている人が多いのかもしれない。昔はトイレが何処も不潔であったし、殆どが和式であったので、外で用を足すのは余程のことがないと躊躇されたものであった。ところが、最近はどこへ行ってもよく整備されており、清潔なので、そういう抵抗感もなくなり、気軽に利用する人が増えたのであろうか。

 何処へ行っても、公衆トイレが快適に利用出来るようになったことは有難いが、ただそれだけではなく、人々の生活様式が変わったためなのか、どうも私のような老人の常識では考え難いトイレの風景が続いているようである。