歳をとって歩くのが遅くなり、昔は人を追い抜いて歩いていたのに、この頃は皆に追い抜かれてしまう。歩くのが遅くなっただけではない。疲れ易く、途中で何処かに腰を下ろさねば、長道を歩けなくなってしまった。
そんな時に、先日SNSか何かで、理学療法士と思しき人が歩き方について話していることに興味を惹かれた。その方が言うには、人が走ったり歩いたりする時には足をを動かすだけではなく、腕も振っているでしょう。人は下肢も上肢も使って歩くようになっているのです。それを下肢だけで歩くと、それだけ効率が悪くなることになるのですと。
腕も使って歩きましょうというのが趣旨であった。なるほど、周囲を見渡すと、老人は殆どの人が少し前屈みになって、上半身は殆ど動かさずに、足だけ動かして、とぼとぼと小幅で歩いている。杖をついたり、シルバーカーを押したりすると余計に前屈みになる。
自分のことを考えても、いつも殆ど上半身を動かさずに、足のことばかり考えていたようである。良いことを聞いたと思って、早速試してみることにした。歩く時に意識的に両腕を動かして、腕を振って歩くようにしてみると、確かにその方が歩き易い気がする。
前屈みになり勝ちな上体も真っ直ぐになり、自然と姿勢も良くなるし、肩で風を切るようで気持ちも良い。脚も多少軽くなったような気さえする。手を振るにも腕を後方に押しやるのが大事だという。そうすれば、実際に歩むスピードも増えるし、足も多少疲れ難いような感じもする。
四つ足動物から進化した人間は立ち歩行になっても、上肢と下肢は連動してうまく歩けるようになっているもののようである。人は足だけで歩くものではなく、手足を使って歩くものらしい。老人も体を強ばらさず、両腕も振って、姿勢良く肩で風を切って堂々と歩くようにした方が歩き易いということのようである。
老人たちよ、皆もっと肩で風を切って堂々と歩こうではありませんか。そうした方が楽に歩けて、老人の威厳も保たれようというものです。