女の方が男より強い

 新聞の夕刊に、働き盛り世代のコロナ死者の男女比が8対2と出ているのを見て驚いた。記事によると、東京都内で亡くなった新型コロナウイルスの50代以下の感染者は男性が8割だそうである。

 昔から感染症などに対する抵抗力は、女性の方が男性より強いと言われており、自然出産率は男の方が女より1割ぐらい多いが、男の方が女より余計に死ぬので、男女のバランスが上手く取れているのだと言われてきた。

 従って、コロナによる死亡率も当然男の方が女より多いだろうとは思ってきたが、8対2とは余りにもその差が強過ぎるので少し不審に思った。Googleで簡単に調べたところでは、新型コロナウイルスの感染者数は30代から60代で、男54.8%、女46%で、死亡数は男56%、女44%と出ていたので安心した。

 夕刊の記事の数がどこに由来するのか知れないが、そこまで酷い男女差は特殊なグループについてのことであろうか。それにしても、男の方が女より死亡率が高いのは確かで、これはコロナに限ったことではない。SARS でも死亡率は男が女の1.7倍だったし、MARSでの死亡率も、男52%に対し女は23%であったと言われる。コロナでICUの収容された人数も、男が女の1.39倍と記録されているようである。

 これは日本に限ったことではなく、中国でもコロナによる死亡率は男2.8%、女1.7%、イタリアでも男10.6%と女6%となっているようである。男が女より多いのは1918年のスペイン風邪の時もそうだったし、実験動物のマウスでもコロナウイルス感染後の死亡はオスがメスより多いそうである。

 その原因についてはいろいろ言われており、男性の方は喫煙率が高いとか、糖尿病や高血圧、肥満が多いからとか、血液凝固能が強いことなどが言われているが、その他にも、男の方が仕事人間が多く、ストレスを抱えているとか、我慢が美徳とか「たくましさ」を期待されているとか、「気持ちを他者に伝え難い」などの社会的、心理的要因なども挙げられている。

 8対2ほどの差はないにしても、一般に病気、殊に感染症に対する抵抗力は、性ホルモンや免疫機構の違いから、一見男の方が強そうに見えるが、女よりひ弱だと言えるようである。

 長生きするのも女性の方が男性より多いし、連れ合いに先に死なれた女性はこれでやれやれと元気になる人が多いが、男は連れ合いに死なれると意気消沈し、後を追うように亡くなる人が多い。

 子を産んで子孫を残すために、女性の方が生きながらえるように出来ているのであろうか。