先日、新聞などで問題になった、政治家たちの漢字の誤読などについて触れたが、今や漢字は誤読ばかりか、書く方も誤りが多く、四字熟語などの乱れは想像以上のようである。Googleで漢字の誤りを調べてみると、ア行から始まって、ワ行まで、全部で150程の熟語が正誤対比で載っていた。今では、誰しも間違ったことのない人はいないのではなかろうか。
こう言う言葉は、最初耳から聞いて覚えることが多く、漢字が後からついてくるものなので、思い違いなどで、誤った漢字を当てはめることが起こりやすい。私は子供の頃から「いっしょうけんめいやりなさい」などと言われていたので、「一生をかけて頑張れ」と言う意味で、「一生懸命」が正しいとばかり思っていて、「一所懸命」が正しいのだということは大人になるまで知らなかった。
ただし、子供の時に聞かされていたのは確かに「いっしょうけんめい」であり、決して「いっしょけんめい」ではなかったので、教えてくれた人も一生懸命と思っていたのかも知れない。今では一生懸命の方もかなり認知されているようでもある。懐古趣味なども今では回顧趣味と混同されて使われているような気がする。
また、昔の記憶で、「一朝一夕」を「一鳥一石」と書く友達がいて「馬鹿だなあ」と思ったことがあったが、これなど「一石二鳥」と言う言葉があるので、それを先に覚えたら、「一朝一夕」が類推で「一鳥一石」となっても不思議ではない。
同じような間違いはキリがないが、最近のように、日常的にひらかなやカタカナが多用され、漢字の使用が制限されるようになると、昔から日常的に使われてきた四字熟語などについても、話し言葉としては受け継がれてきても、書き言葉がそれについて行けず、適当な文字に置き替えられたりしがちなのも仕方がないような気もする。
日本語には同音異字が多いので、漢字の正確さが厳しく要求されなければ、どうしても安易に流れて、似たものが混同されることにもるのであろう。多くの誤りはこの手である。
下に思いつくままに適当に四字熟語を12ばかり並べてみたが、どらがち正しいか参考のためにご覧になってみて下さい。
以下の熟語の文字はどちらが正しいか?
1 たんとうちょくにゅう 短刀直入 単刀直入
2 ぜったいぜつめい 絶体絶命 絶対絶命
3 しゃこうじれい 社交辞礼 社交辞令
4 たんじゅんめいかい 単純明快 単純明解
5 いっちょういっせき 一鳥一石 一朝一夕
6 にそくさんもん 二束三文 二足三文
7 ききいっぱつ 危機一発 危機一髪
8 ふわらいどう 付和雷同 不和雷同
9 いっしょけんめい 一生懸命 一所懸命
10 いきしょうてん 意気衝天 意気昇天
11 いくどうおん 異句同音 異口同音
12 いみしんちょう 意味深長 意味慎重
(正解は奇数欄では後の方が、偶数の場合には前の方がが正しい)