コロナ感染大爆発の責任

 とうとうコロナ感染が大爆発してしまい、医療崩壊が現実のものとなり、コロナにかかっても自宅で死ぬ人まで出てしまっている。それにもかかわらず、病院への入院などは、未だに保健所一本で調整することになっているが、今やこのシステムもパンクしてしまっている。

 政府は感染の爆発を見て、専門家にも相談せず、軽症、中等症は自宅療養を原則とすることを決め、反対の声の押されて変更したが、未だに大枠はそのままにしている。

 感染症に対しては、先ずは隔離が原則であるが、自宅で隔離出来るのは特別な場合に過ぎない。コロナ感染が起こり始めた頃から、宿泊療養などと承してホテルなどを買い上げ、隔離施設を設けたが、何故それをもっと活用しないのか。今回も、あまり利用されていないようである。

 隔離施設に総ての感染者を収容して、そこに医療スタッフを派遣すれば。そこで最低の医療的観察も出来るし、重症患者の選別をして、入院の調節をすれば、保健所に頼らなくても、スムースに入院の調整も出来るであろう。空いたオリンピックの施設など、すぐにでも隔離施設に利用出来るのではなかろうか。

 今は総力を上げて、この感染爆発に立ち向かう時である。しかし、こうなることは、初めから余りにもよく分かっていたことである。先手を打って適切な対策を立てておくべきであったのである、オリンピックをやめてコロナ対策に全力を尽くせという声も強かったのである。時間も充分あったのに、返す返すも残念である。

 菅首相は今もオリンピックは今回のコロナの爆発に関係ないとする姿を続けているようだが、仮にオリンピックが直接関係がなかったとしても。予め国論を二分する程の反対があったにもかかわらず、それを無視し、コロナ感染の爆発への十分な手を打つことなく、ことを進めて来たことの重大な責任は逃れられないであろう。

 今回の感染爆発がオリンピック開催に直接は関係がなかったとしても、コロナの感染が始まってから一年半以上も経ち、その間、何度も感染の山を迎えているので、多くの国民のコロナに対する慣れもあるし、その上、夏は夏休みの季節で、従来より毎年決まって、行楽やお盆での里帰りなどで、人流の多くなる季節なのである。

 こういう時に、一方で一所懸命に人の移動を控え、外での飲食を避け、家に止まれと言っても、ただでさえ効果が出にくいのに、片方で、オリンピックだといってお祭り気分を煽り、世界中から大勢の人を集め、国民を熱狂させる一大スポーツイベントを行うという、全く逆のことを宣伝し、実行するとなると、そのムードだけからでも、人の心が抑制的とは全く逆の方向の働くことは明らかである。

 いくら菅首相がオリンピックは関係が無いと否定しても、それを肯定する人の方が少ないであろう。それに、オリンピックのために、予想出来たコロナの感染爆発に対する先手の対策が十分でなかったことも非難されるべきであろう。

 今は、直面しているコロナの急拡大、医療崩壊を防ぎ、人の命を守ることに全力で立ち向かう時であるが、予め多くの国民が予測し、心配していたことを無視して、コロナ対策の手を抜き、オリンピックを開催して、この医療崩壊を招いたコロナ感染の大爆発をきたし、国民の命を犠牲にした政府の責任は厳しく問われなかればならないであろう。

 更に、これだけ医療崩壊まで見られる中で、パラリンピックまで強行し、おまけに、教育的に意義があるとして児童の観戦まで実行しようとするに至っては、IOCに脅迫されているのかと疑われるぐらい異常なことである。今は総力を上げて、コロナ対策に全力を上げる時である。