オリンピック中止を早く決めるべきだ

 コロナの緊急事態宣言が終わってまだそれほど日もたっていないのに、あちこちでまた感染者が増え、殊に大阪では第3波の時に近い600人を超える感染者が出るようになり、大阪と神戸、尼崎、西ノ宮、芦屋、それに矢張り感染者の増加が見られる仙台を加えて、6都市に蔓延防止等充填措置が宣言された。

 2月末の緊急事態宣言の解除が少し早すぎると思われた。政府は途中中止になって予算の余っているGoToなどの経済対策のことや、オリンピックのことなどを考えて解除したのであろうが、それが誤りであった。東京はじめ首都圏も間違いなく、また増えてきて、何らかの手を打たねばならなくなるだろうことも明らかである。

 緊急事態宣言で冬中閉じ込められて我慢してた人たちが、いい加減飽きてきたところに、光春で日差しは1日1日明るくなるし、気温も暖かくなってきて、桜も咲くとなれば、誰だってもう我慢出来なくなって、気分の転換のためにだけでも、外へ出たくなるのは当然であろう。それは誰にも止められない。

 そこに春は学校の卒業式や、入学式、それに春休みがあり、会社も年度替わりで、新人の入社式が行われたり、人事の移動の季節にも当たる。嫌でも多くの人が集まる季節になる。

 そんな時に大人しく家に止まっておれと言われても、無理なことは容易に想像できよう。国民の監督役にあたる厚生省での歓送迎とやらでの大勢の会食が問題とされたことを見ただけでも良くわかるであろう。

 首都圏や近畿だけでなく、全国的に感染者が再び増えて、やがては、再び緊急事態宣言を出さざるをえなくなるであろうことはほぼ間違いないであろう。

 政府はワクチンの効果に期待しているのかも知れないが、輸入が遅れるので、日本における接種が予定より遅れることは確実である。そうなれば、日本で集団免疫が出来てくるのは早くとも今年の秋以降ということにならざるを得ない。オリンピックにはどうしても間に合わないであろう。

 政府はIOCなどと絡んで、膨大な予算やスポンサーの意向に振り回されて、何とかオリパラを強行したいようだが、そうなると、コロナ蔓延による緊急事態下でのオリンピック開催ということにもなりかねない。それでも、出場可能な選手だけででも、強行開催する積もりであろうか。本来世界中から選手や観客が集まって技を競い、交流を深めるのがオリンピックである。出場可能な選手や関係者だけで、コロナ蔓延の中で開催しても、本来のオリンピックの精神からは遠いものになってしまう。

 既に大掛かりな聖火リレーを始めているが、それ自体が大勢の人を集め、マスクも無しに騒いでいるのを見ると、コロナウイルスを拡散しているのではないかと疑われかねない風景である。大阪に続いてあちこちで聖火リレーの中止が決められたり、決めざるを得なくなったりするであろう。

 間際になってドタキャンのようなことをして、多くの人に失望と被害を来たすことを避け、早くオリンピックの中止を発表すべきであろう。いつまでも選手たちに無用な希望を抱かせておいて、最後にガッカリさせるようなことだけは厳に謹んで欲しい。オリンピック精神に反することである。日本の名誉にも関わることであろう。経済的な問題が絡むことは重々理解できるが、それに目が眩んで道を誤るようなことがあってはならない。

 最早一刻も早く中止を決断して、世界に知らせるべき時が来ていると思うがどうであろうか。