照ノ富士の優勝・大関復帰

 大相撲の今年の春場所が終わり、照ノ富士が優勝して、念願の大関復帰をも果たすことが確実になった。先ずはおめでとう!立派だ、よくやったと言いたい。

 この力士については、かって大関だった頃からのファンで、いずれは横綱になるのではないかと期待し、応援していた力士である。腕っ節が強く、体力を生かしたかなり強引な取り口の相撲であったが、誰にも負けず、この分だと白鵬などの跡を受け継ぐ横綱になるのではないかと期待していたのであった。それが両膝を共に痛めて挫折し、大関から転落して、序二段にまで下がり、最早これまでと思われていたのが、奇跡的に復活し、とうとう元の大関にまでなったのである。

 かって大関で膝を怪我した時、次の場所は休場して、膝の治療に専念をするべきだと強く思ったのだが、本人が若かったためか、無理をして出て来たのが災いして、とうとう両膝を悪化させてしまい、番組からも脱落してしまったのが残念でならなかった。

 もう相撲人生を絶たれたようなもので、殆ど忘れられかけていたが、それが奇跡的に復活して、再び大関に帰り着くなどということは普通には考えられないことである。それも、手術したとはいえ、今でも両膝に厚くテープを巻いたままの姿での出場である。

 何か痛々しく、今でも他人事ながら、あの時休んでいたらなあと悔やまれるのだが、同時に照ノ富士の根性には敬服せざるを得ない。あの膝でここまで復活すると思った人は先ずいなかったであろう。今の日本人で、あれほどの根性を持っている人は他にはいないのではなかろうか。

 照ノ富士がモンゴル人で良かったと思うのは私だけであろうか。もし彼が日本人であれば、それこそ、日本人の誉だ、大和魂だ、日本人だからこそ根性でここまで復活出来たのだなどと騒がれ持ち上げられ、贔屓の引き倒しにされたところではなかろうか。

 大関の次は、横綱になって、白鵬の跡を継いで欲しいと思いたいが、今でも膝には大きな問題を抱えているわけだし、決して周りの声援に乗せられ過ぎて、無理をし、再び膝を悪くしてしまうようなことのないようにして欲しい。こんな偉業を成し遂げたのだから、あとは横綱になれなくても良いから、体にも注意しながら、頑張って欲しいものである。

優勝した時の笑顔が忘れられない。