JKって何のこと?

 古くから、若者たちは自分らの略語を作って、自分らの間で使って喜んでいたが、最近はスマホのやりとりが盛んなので、その影響であろうが、極端な略し方の言葉が流行り、我々老人にはとてもついていけない。

 それが新聞にまで使われると、何のことかわからず困惑させられることもある。つい先日、新聞の声欄に「顔も心もすっぴん 無敵のJK」という見出しで、高校生の投書が載っていたが、見出しだけでは、何の事やら分からない。すっぴんは判るが、JKとは何か?女房に聞いても知らない。

 幸い、今はGoogleが何でも教えてくれるので、検索してみると、何のことはない、女子高校生のことだそうである。女子中学生ならJC、女子小学生ならJSとも言うらしいが、男子の場合はDKとはあまり使われないそうである。

 略語は昔から社会一般に広く使われているが、日本では、これまでの多くは漢字熟語の短縮形が多いので、短縮されても表意文字なので、初めてであっても、意味が類推出来ることが多い。地名や会社名、その他の多くの固有名詞も、広く短縮形が使われているが、それらは殆どが漢字なので、意味が想像しやすい。例えば、ア行で、愛銀と言えば、愛知銀行愛媛銀行かとすぐ判る。愛大なら、愛知大学愛媛大学安保理とあれば、安全保障理事会とすぐに判らなくても、どんな類のものかぐらいは想像出来る。

 固有名詞でなくとも、「電卓」が「電子式卓上計算機」の略と一度聞けば、次からはすぐ分かる。新聞で「漢検」とあれば正しく「漢字能力試験」のことだ判らなくても、漢字の検査のことなのかと想像し易い。「電卓」にしても「漢検」にしても、略語が使われている間に、略語が普通の呼び名になってしまい、本来の名称が忘れられてしまうことにもなる。

 「断トツ」などは「断然トップ」の略だったのが、そのまま使われるようになり、中には「断トツでトップ」などと言われることすらある。

 しかし、かな文字やアルファベットの略語は、表音文字なので、略されると、説明して貰わなければ、何のことなのかさっぱり分からない。IMF、WHO 、NATOASEANNPOなど新聞などでよく見るものは、どんなことか分かっても、少し専門的な、経済のことや科学技術のローマ字略語となると、何の略で、どういうことなのか説明がないと分からない。

 ましてや専門的な領域の話となると、略語だけでは、普通の人には全く理解不能で、専門家仲間の間だけで通用する符牒になってしまっている。

 それでも、このような横文字は一旦覚えたら確かに便利なので、それほど多く使われるのでなければ良いが、それより今はカタカナ英語の氾濫の方が問題であろう。但し、略語ではないので、ここでは触れない。

 ここでは、それより、日常生活で普通に使われる口語単語の省略形についての問題である。若い人たちの言葉は、取捨選択されるものの、次第に社会一般の日本語になっていくので、成人も老人も無視するわけにはいかない。

 昔から、若者言葉は時代とともに変わっても、ずっと受け継がれてきたものなので、多少古い、例えば、「ダンチ」だとか「ザクバラ」「シャン」「テクシー」「インハラベービー」ぐらいは私も知っているが、時代が変われば、言葉も変わっていくものである。「アヴェック」などはもう使われないようである。

 最近はスマホの時代で、若者たちはスマホでの文字入力によるやり取りが多いので、発語の短縮だけでなく、打ち込む作業の省力化をも目指して、二重の簡略化がされるので、これまでとは少し違った短縮形が作られることになるので、第三者には余計に判り難い。

 Googleで見ると、よく使われているものとして挙げられていたのが、『り、あね、おつ、くさ、そま、あざ、すこ、なる、よき、ちな、じお』などであったが、どれだけ分かるでしょうか。始めから順に、「了解、ああなるほどね、お疲れさま、笑う、それマジ、有難うございます、好き、なるほど、良い、ちなみに、時代遅れ」ということだそうである。

 面白いと思ったのは、「フロリダ」というのがあって、何のことかと思ったら、「風呂へ入るので、しばらくこの会話から離脱する」ということなのだそうだ。また、手の込んでいるのは、「笑い」が「ワラ」となり、絵文字の感じで「www」になり、草が茂っている様にも見えるので「草、くさ」となったという説明であった。

 我々老人がここまで知る必要はないであろうが、時代とともに変わり行く若者言葉、それが広がっていく日本語、それにカタカナ英語の氾濫などが加わって、将来の日本語はどうなって行くのだろうか。大きな流れに逆らうことは出来ないが、気になるところである。