従属国の争い

 菅首相がバイデン新大統領と接触すると報じられていたから、こちらから主体的に連絡するのかと思っていたら、そうではなくて、アメリカの方で新たに大統領が決まったので、諸外国の首脳と挨拶をかわすための一連の電話外交の一環の動きに過ぎなかった。

 トランプが大統領に決まった時、安倍首相がまだ就任前にアメリカに飛んで行って、取り入ったので、それに倣って何か手を打つのかなとも思ったがそうではなかった。

 それも、バイデン大統領は、先ずは9日のカナダを皮切りに、11日に英国、フランス、ドイツの首脳らと電話会談を行い、欧州が済んでから次に、中国との対立関係を意識して、東アジアの首脳との電話会談を選択したと言うことらしい。

 ところが、ここでは、日本と韓国がバイデン氏との電話をめぐって対決するような格好となり、「どちらが先に電話するか」などと報じられていた。結果は日本が先で、次いで韓国の順であったが、「やっぱり経済力のある国が先か」「米国は昔から日本ファーストだよ」「当たり前だよね。日本の方が強力な同盟なんだから」などと韓国では報じられたそうである。

 しかし、電話会談の時間は日本は10分、韓国は15分だったそうで、韓国では「30分遅かったからといって気にする必要はない」「順番より内容が大事」「日本より韓国の方が長かったからおあいこだ」との声もあったそうである。

 まるで、どちらが主人により重く見られているか、召使がお互いに競っているかのような有様で、召使の立場の惨めさを感じざるを得ない。日本の停滞が続き、今では韓国の一人当たりの収入が日本より多くなってしまっている状態では、日本ではまだ韓国より日本の方が上だと思っていても、韓国の方ではもう日本と肩を並べていると思っているのではなかろうか。

 どちらもアメリカを宗主国とした従属国という点では同じであり、その両者が「こちらの方が主人により重視して貰っているのだぞ」「いや、もうこちらの方だぞ」と言い争っているようなものである。聞いているだけで情けない。 お互いに、どちらも自主独立して、従属国の立場を抜け出し、アメリカとも同等に話の出来る国になることを願うばかりである。

 なお、僅か十分の電話会談では、ただの挨拶以上の成果が得られるはずはなく、日本では尖閣列島の防衛が日米同盟のアメリカ軍の義務の範囲ににあることが確かめられたと 、報じられているが、アメリカの公式な記録にはそれは記載されていないそうである。