警察国家への道

 8年半も横暴が続いて、もういい加減に辞めて欲しいと思っていた安倍内閣が、ようやく消えてやれやれと思ったが、次に生まれた菅内閣は初めから従来の路線を引き継ぐと言い、代わり映えがしないと思っていたが、この一ヶ月を見ると、これまでよりももっと酷い内閣になりそうである。

 引き継ぎ早々、「自助、共助、公助そして絆」と国民を突き放しながら、「国民のために働く内閣」と言い、それでも国会は開かず、所信表明もいつまでもしない。それよりも早く、日本学術会議の6名の任命拒否の問題を起こし、広範な反対が起こっているにも関わらず、その理由すら頑として明かさない。

 そればかりか、任命拒否の問題を学術会議のあり方の問題にすり替え、学術会議のあり方の検討会を立ち上げたりして、問題をすり替えようとしている。しかも、今回の特徴的な点として、右翼のコメンテーターばかりでなく、閣僚までがフェイクニュースを流して、任命拒否問題を隠し、学術会議の評判を貶めようとしていることである。

 防衛大学の卒業生を東大の大学院は採用しないとか、軍事研究をしないと言いながら中国の研究に関与しているとか、ウイルスの研究は軍事研究だと言って進めないので、コロナのワクチン開発が遅れたとか、いろいろな悪口を流布して、任命拒否を説明せずにやり過ごそうとしている。嘘がバレて後で訂正しているケースもある。

 この6名の任命拒否は、杉田副官房長官が取り計らって、首相がそれを了として判断したことが分かっているようだが、この杉田氏は警察出身だそうで、同じ内閣官房の 国家安全保障局長 の北村 滋氏も警察出身で、内閣府は安倍首相の時代には経産省の力が強かったが、菅内閣になって司令塔の勢力関係が変わって来ているようである。

 そんなことに関係があるのかどうかわからないが、最近の出来事としては、中曽根元首相の葬儀に関して、内閣府から文部省や各地の教育委員会宛てに、当日半旗や弔旗を掲げ、黙祷して弔意を表すようにとの要請文が送られたりもしており、何か気持ちが悪い。

 菅内閣のこの一ヶ月、デジタル庁の創設、不妊治療の公的支援の拡大、携帯電話料金の引き下げなどを推し進めて、国民の評価を得て、先に進もうという考えのようであるが、その裏で警察権力を強めていこうという思惑があるのではなかろうか。

 これまでの安倍首相の金持ちのボンの横暴に対して、苦労人?の陰険な策士である菅首相の違いがどう出てくるか、当分政治の流れを注視していかねばならないが、自民党政治のこれまでの流れを見ていると、どうもこれからは一層陰鬱な警察国家が徐々に作られていくような気がして、先行き憂鬱な気がするのは私だけであろうか。