優生保護法による不妊手術被害者に救済を!

 

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 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして、東京都の北三郎さん(77)=活動名=が国に3000万円の国家賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は30日、請求を棄却した。

 原告は57年に強制的に不妊手術を受けさせられた。原告側は、手術は憲法13条が保障するリプロダクティブ権(性と生殖に関する権利)の侵害に当たり、国は賠償義務を負うと主張。さらに、国と国会は、被害回復のための立法が必要だったのに怠る立法不作為があったとも訴えていた。

 これに対し国は、手術から60年余が経過しており、不法行為から20年で損害賠償の請求権が消滅する「除斥期間」が経過していると反論。立法不作為についても、原告は国家賠償法に基づいて被害回復を求めることができたため、別の補償制度の立法が必要不可欠だったとはいえないと主張していた。

 以上が新聞に載っていた記事であるが、法的にはこういう結論しか出ないにしても、国が犯した人道上の誤りははっきりしている。それも、戦後、この国が国民の人権を重んじる民主主義国家になってから、国会で審議された上で、作られた法律によるものなのである。

 当時の優生保護法は劣悪な遺伝子を持った子供の出生を断ち、優れた子孫を育てるのが国家の義務であるというもので、この優生遺伝保護思想の社会的な合意の上に推進されたのである。しかし、現時点から見れば人権侵害であることは明らかである。国家も誤ることがあることを認識することが何よりも必要で、それに対処するにはどうすべきかがが次に問われることである。

 国家が与えた回復不可能な損害に対して、国家が如何に補償するべきかが問われているが、それに対して通常の通りの法的処理で、国が定めた賠償の請求権の期限が過ぎているからという理由で、請求を棄却しただけで良いものであろうか。民主主義を標榜する国としてあまりにも無責任ではなかろうか。

 法律の手続きのことことはわからないが、人道的には、国は自らの明白な過去の誤りついては、もっと明確な謝意の意思表示と共に、それに対する充分な補償をすべきだと思うがどうであろうか。