久しぶりの箕面の滝

 80歳を超えて毎日仕事に出掛けなくなってから、毎月必ず一回は箕面の滝まで行くことにして来た。私は箕面小学校の卒業生でもあり、箕面の山は懐かしい故郷のような所なのである。

 朝一番の阪急箕面線に乗って行き、箕面駅を5時10分位に出発し、滝まで往復して、箕面6時14分発の電車で帰り、池田の駅から走るようにして家まで帰り、7時25分から始まる10分間のラジオ体操の途中に間に合うのが定刻であった。

 90歳を超えると、流石にそんなスピードで歩くのは困難となり、途中の休憩所で一休みして行くようになった。それに、一昨年と、その前だったかは、二年連続の台風の被害で、長らく滝道が閉鎖され、滝まで行けない時期や、回り道しか行けないことなどもあった。

 それでも行ける時には、欠かさず「月参り」「滝詣で」だなどと言って、月に一度は必ず滝まで行っていたし、秋には紅葉観賞に、もう一度ぐらいは余分にも行っていた。

 ところが、昨年10月の末ぐらいから、比較的急に脊椎管狭窄症になり、休み休みでしか歩けなくなり、滝行きが難しくなってきた。それでも、正月には娘が来たので、3人で途中で休みを入れながら、何とか滝まで行ったし、2月には途中まで行った所で、そこから先は工事で通行止めになっていたので、引き返して来たのだった。

 ただ、その後は今の新型コロナ(Covid19)の流行で外出自粛となったので、それと歩行の問題が重なって、3月、4月はとうとう何年振りかで、滝行きが途絶えてしまっていた。

 しかし、5月になって、足の調子もいくらか良くなってきた感じがするし、21日にはコロナの特別措置法の外出制限も解除されたので、気候も絶好だし、ここで何とか滝行きを復活させたいものだと思い、5月23日早速出かけた。

 特別 措置法が解除された最初の土曜日だったこともあり、思いの他の人出であった。長い間家に閉じ込められていて、気候も良くなったので、誰しも広々とした緑の景色の中で、胸一杯綺麗な空気を吸って、ストレス解消しようと思ったのではなかろうか。

 箕面の駅から滝までの登り道はシルバーカーを押しながら行き、帰りの下り道はノルディックのダブル・スティクスで往復したが、片道2.8キロの滝道を、いずれも途中一回休んだだけで済み、久しぶりの箕面を楽しめただけでなく、歩行にも大分自信がついた。

 この日の滝は水量も多く、勢いよく落ちる白い滝と、それにかかる紅葉の葉の緑が美しく輝いていた。昨年暮れあたりから作業していた一の橋の袂の橋本亭も完成していたし、台風の爪跡もかなり緑で覆われて、渓流に沿った春の楓の緑が美しく、河鹿の鳴くのさえ聞かれた。ただ、行き交う人達が皆マスクをしている姿だけが、これまでに見たことのない異様な景色であった。

 コロナの流行もこのままでは済みそうもないし、マスク姿の人々も当分続くであろうが、久し振りの箕面の滝行きはやはり気持ちが良かった。今後も出来るだけ月一の「滝詣で」は続けたいものである。