ビデオチャット

 私の娘や孫は皆アメリカに住んでいる。それもニューヨークやワシントンDC、ロサンゼルスとバラバラで、一人の孫はイギリスにも度々出かけているようである。

 孫たちも、今では皆成人しているので、何も案じることもない。むしろ、向こうがこちらの年寄りを気遣ってくれているといったところである。それでも、お互いに随分離れているので、何かの時にすぐ連絡を取り合ったり出来ないのは、やはり問題である。

 そうは言っても、昔とは違って、インターネットのおかげで、すっかり様子が違い、つくづく便利になったものだと感心せざるを得ない。

 昔、1960年代の初めに、私たちがアメリカにいた頃は、国際電話をかけるにしても、オペレーターを呼び出し、長く待って、やっと繋がったと思っても、ザーザーいう雑音ばかりで、なかなか聞こえない。「もしもし、もしもし・・・聞こえますか・・・聞こえますか??」と大きな声で繰り返しても、雑音に邪魔されて、なかなか話が通じない。それに海外だと通話料も高くなる。予め用意していた話の要点だけを告げて、早々に電話を切らねばならないことになったものである。

 詳しいことは別に手紙で書いて航空便で送るか、急ぎの用は電報でするしかなかった。それがどうだろう。今やインターネットのおかげで、メールで書けばすぐ届いて返事が来るし、電話も料金を気にしないで、いつでも応答ができる。便利になったものである。

 インターネットが使えるようになってからも、初めの頃はメールでの文字によるやりとりしか出来なかったが、そのうちに、何年か前にskypeというのを知り、お互いに顔を見て会話が出来るようになった。しかし時差があるので時刻の打ち合わせが必要であり、まだお互いに忙しかったのと、skyeの使い方にも慣れていなかったので、2〜3度試しただけで途切れてしまっていた。

 2−3年前からは女房がLineでグループで話が出来るようにしたので、それを利用することもあったが、時差があるし、連絡はもっぱらメールに頼って来た。

 ところが、最近になって娘がビデオチャットをしようと言い出して、その段取りをしてくれた。一度向こうからFacebookのMessengerを使って繋いでくれたが、家族全員でビデオチャットをするには、何故かうまくいかず、Google chromeのHangoutsですることになった。

 ところがこちらの設定がどうしたら良いのか分からず、娘とその旦那に教えて貰って、こちらは女房と二人がかりで、やっと繋がるようになった。ただ、こちらとロサンゼルスとニューヨークでは皆が同時に顔を揃えられるのは、皆が休日である、こちらが日曜日で、向こうが土曜日で、こちらが朝で、向こうが夕方ないし夜の時間しかない。

 ようやく準備が出来たので早速試してみたが、初回は何故かうまくいかず、一週間あけて再度挑戦して、やっと9人全員が画面の上でお互いに顔をを見ながら話をすることに成功し、めでたし、めでたしということになった。久しぶりでお互いに顔を見て話が出来るのは素晴らしいことである。

 このHangoutsというアプリは、会社などのテレワークやビデオ会議に使うもののようで、それぞれが発言したり資料を示したり、ディスカッションをする時のために出来ているようで、一人一人がお互いに順番に話すには良いが、家族の会話のように皆が一斉に喋ったりするにはもう一工夫が欲しいところであるが、そのうちにもっと良い方法も出来てくることを期待しよう。とにかく素晴らしくありがたいものではある。

 現在、新型コロナ感染症で緊急事態宣言が出たりして、テレワークが盛んに行われているようだが、このHanngoutsのようなソフトがフルに利用されているのではなかろうか。ITの発達によって遠く離れていても、すぐそこにいるように、お互いに顔を合わせて話しの出来ることは素晴らしいことである。今後も時々これを利用して家族の会話を楽しみにしようと思っている。