新型コロナパンデミックの河川敷公園

 今年は二月から世界的な新型コロナの 大流行で、学校は休校になるし、密閉、密集、密接の三密は控えろ、不要な外出はするなと言われて、多くの人が家庭に留まり、外へ出ないものだから、繁華街もガラガラの状態が続いている。

  しかし、4月になって気温も上がり、桜も咲いて陽気な日が続くと、コロナは怖くても、いつまでも家に引きこもってばかりもいられない。花見の桜は禁止されても、ストレス解消のためには、歩きながらでも良いから桜も見たくなるし、広々とした所で春の陽気にも当たりたいと思うのは人情であろう。

 私もこの冬は椎間板狭窄症で遠道を歩けなくなったところに、コロナの流行で予定していた催しも殆どが中止となり、寒いこともあって家に蟄居していることが多かったが、この頃のように暖かくなってきて、天気も良いとなると、足の訓練のためにも出来るだけ外へ出て歩かなければと思い、コロナのためには人混みは避けて、広い空間に出て、出来るだけ歩こうとしている。

 幸い、我が家のある池田市には大阪府兵庫県の県境を流れる猪名川もあるし、五月山という小高い丘もある。散策するにはどちらでも良いが、山や丘は坂道が多いので、シルバーカーには適さない。その上、猪名川の方が近いので、毎日の散歩などにはこちらへ行くことが多くなる。広い河川敷があるので、それに沿って上流の方へ行ったり、下流の方に行ってみたりと利用させて貰っている。

 この河川敷はかなり広く、何面もの野球場やサッカー場、更には児童遊園地まで色々と整備されており、夏には毎年、花火大会や野外音楽会なども行われている。河原に沿って続く道も整備されているので、散歩するのにもぴったりである。広大な空間が続いているので、少々人が来ても、人との距離を心配することも全くない。

 その上、桜並木の続く所もあるし、堤の斜面には色々な種類の野草も見られる。野鳥も多く、カラスや鳩、雀ばかりでなく、ムクドリや、ヒタキ、セキレイなども見られる。川の中には鴨が泳いでいるし、鷺、鵜などの水鳥も多い。

 週末は野球やサッカーの試合で人出も多くなるが、それでも河原の広さから言えば、過密にはおよそ縁遠いし、あとは堤の上を行く老人のアベック、ラニングする人やサイクリングの人をボツボツ見かける程度。孤独な老人がただぼんやり空っぽの野球場のベンチに座っていたり、何をしているのか、水辺の茂みでじっと水面を見て立っている老人を見かけることもある。

 児童遊園地のあたりでは、幼稚園のママ友であろうか。4〜5人の女性が近くに何台かの自転車を留めて、地面に敷物を敷いて子供達を遊ばせながら、親同士で飲食をして喋っている姿も見られる。

 川向こうの河原では、高校生ぐらいの男の子たちが屯していたりする。学校が休校で時間を持て余しているのであろうか、折角お互いの密閉、密集、密接を避けるために休校になっているのに、これではあまり意味がなくなるのではとも思うが、若いエネルギーの有り余った高校生に家でじっとしてろと言う方が無理ではなかろうか。ただ、コロナを拡げてくれなければ良いがと思ったりする。

 こんな人混みや密閉、密集、密接とは縁のない、開けっぴろげな空間を、この暖かくなって陽気な気持ち良い空間を利用しない手はない。人も殆どいない広大な平面なので、シルバーカーを押しても自由の歩き廻れる。足の悪いのも忘れて不思議なぐらい長い距離を休まずに進めるのが気持ち良い。勿論、マスクも要らないし、思う存分新鮮な空気を吸って、心身のリフレッシュが出来るのが有り難い。

  その上、ここではもう一つオマケがある。丁度この辺りの河原では、伊丹空港を離陸した飛行機が上昇していくのを眺められるのである。 空港とは少し距離があるので、それほどやかましくなく、飛び上がって次第に上昇し、やがて旋回して昆や池の上空あたりで南の方へ向きを変えて、次第に雲の中に消えていく姿を観察する楽しみである。

 ただし、普段なら10分か15分おきぐらいに次々と飛び立っていく飛行機を眺められるのだが、最近はコロナの流行で飛行機の便が極端に減ったためであろうか、飛び立っていく飛行機のあまりにも少ないのに驚かされた。