マスクより手洗いを

 新型肺炎( COVID19)が流行り出してから、街はマスク姿のオンパレードである。

マスクをしている人がマスクをしていない人を咎めて喧嘩になった話までテレビでしていた。

 この時期には風邪でなくとも、花粉アレルギーのためにマスクをしている人が多いのは例年のことであるが、何故か日本では風邪の予防は第一にマスクと考えている人が多いようだし、マスクの流行に便乗して、スッピンの顔隠しにマスクを利用している人もいる。寒さ対策、風対策にマスクをしている人もいる。そういう人の中には、外を歩いている時にはマスクをしていて、電車の中では、楽なので、マスクをずらして鼻や口を出している人もいる。

 どうも日本人はマスクがお好きなようである。我が家の女房も、その流行の波を利用してか、近くのスーパーへ買い物に行く時には、化粧の代わりにマスクをして出かけているようである。

 そんなわけで先日この欄にも書いたが、どこへ行ってもマスクは売り切れである。マスク不足で、病院その他の本当にマスクが必要な所でマスクが足らなくて困るので、政府もマスクの利用や買い溜めに注意を呼びかけているぐらいである。

 このCOVID19は飛沫伝染であるから、患者やビールスを排泄している人の近くに行かなければ、直接感染することはないわけである。人混みの中や、電車その他の狭い閉鎖された空間以外の、普通の通りなどのオープンな空間ではマスクをする必要は全くないのである。

 ただし、中国ではエロゾールといって、飛沫より小さな粒子による感染も否定出来ないという話もあるので、空気伝染ではないが、閉鎖された空間に止まる時には念の為、マスクはしておいた方が良さそうである。

 それより、感染は間接的な接触によることの方が遥かに多いと考えられている。咳などとともに排泄されたビールスが、直接というより、多くは排泄した人の手、場合によっては衣服をなどを介して、例えば、ドアのノブとかエレベータのボタン、つり革、手摺り、その他諸々の物体に付着して、それらの汚染を知らずに、他の人が触って感染るという、接触感染が主流になっているように思われる。

 こうして付着したビールスが、他の人の手を介して、その人の鼻や口、目などの粘膜から侵入して感染することになるというわけである。

 従って大事なことは、危険な場所を出来るだけ直接素手で触らないことと、知らずに接触していることも避けられないので、出来るだけ手を洗って、知らずに着いたビールスを洗い流すことである。マスクより手洗いが大事なのである。

 それと、手を介して粘膜から感染するのであるから、出来るだけ手を肩から上に上げる機会を少なくして、手で目や鼻、口などに触らないようにする工夫をすることも良いであろう。

 人は無意識に手で顔を触ることが多いものである。特に口や鼻や目を手で触らないようにすることは言うほど優しいことではない。マスクなどしていると、その着脱などに絡んで、かえって顔を手で触ることが多くなりやすいかも知れない。

 そう言う意味で、手を出来るだけ頻回に洗うことが感染防御に最も大事なこととなる。出来るだけ不要な所には手を触れない。つり革やノブやボタンなどには出来るだけ直接触れないのも良いであろう。

 しかし、どれだけ注意しても、見えないビールスとの接触を100%完璧に断つことは出来ない。それでも、人体には色々な免疫機構もあるわけだし、ビールスに接触する機会と量を出来るだけ少なくしておけば、感染の可能性を減らせることになるであろう。

 さらには生活の注意をして、体の抵抗力を落ちないようにしておくなども加えて、大事な感染対策のポイントさえ押さえておけば、必要以上に神経質になってビールスとの接触の可能性を完全に絶つことまでを考えなくても良いであろう。