新型肺炎とマスク

 このところ、新型肺炎(2019nCov)が流行りだして、マスク姿がやたらと多くなった。中国ではマスクが品切れだというので、近くのドラッグストアをのぞいてみると、人だかりがしているのですぐ見つけられたマスク売り場は、そこの棚だけが空っぽになっていた。日本でもマスクが不足しつつあるようである。

 報道によると、菅官房長官はマスクの品薄状態について「国産主要各社が24時間体制で増産を図っている。生産、流通の状況をきめ細かく把握し、品薄が緩和されるよう取り組んでいきたい」と述たようである。

 もともとこの時期はインフルエンザや風邪が流行り、その上花粉症が出始める頃なので、例年マスク姿の人が多くなる時期ではあるが、毎日テレビや新聞で新型肺炎の流行が話題になると、やはりマスクぐらいは用意しておかないとと思うのが人情であろうか。

 私も電車に乗って出かけるような時にはやはり念のためと思ってマスクをするようになったが、もう皆が一斉にマスクをしていると言っても良いぐらいである。アメリカ人はあまりマスクをしていないが、どうも日本人はマスクがお好きなのか、以前から冬になるとマスクをしている人が多い。

 マスクをしていると寒風にさらされた時など少し暖かく感じられるので、防寒のつもりでしている人もいるようだし、女性などでは化粧をしていない顔を隠すためにマスクをする人もいるらしい。勿論、傷や傷跡などを隠すためとか、悪事を働くのに顔を見られにくくするためにマスクをする人もいるであろう。

 マスクのつけ方もまちまちで、正しくつけている人も多いが、マスクがずれてか、わざとか知れないが、口だけ塞いで、マスクの上から鼻腔の覗いている人や、ひどい例では、口まで開けて、顎の下にまでマスクを押し下げたままにしている人さえいる。

 マスクの色や形も色々で、一番多いのは白い四角い使い捨てのものだが、洋梨状の顔によりフィットしやすい形のものもある。日本人は大抵白いマスクをしているようだが、中国からの観光客には黒いマスク姿が多い。この間は、四角形の白いガーゼの周囲からパットなどで使う青色が覗いたマスクをした一団に出会った。

 私の子供の頃にもスペイン風邪が流行ったからか、マスクをさせられた記憶があるが、その時のマスクは、黒い三角形に近い形で幾つか穴が空いた今より小さめだが、しっかり作られたもので、中にガーゼを当てて使用するようになったものであった。

 それにしても、最近目立つのは職場によって決められたマスクの着用であろう。観光バスの運転手が新型肺炎に罹患したことから、観光産業で、ホテルや交通関係、あちこちの受付などの人は一斉にマスクをするようになったが、見ているとそれぞれの会社で対策として決めたのであろうか、職場でも一斉にマスクをするように決めたところも多いようである。電車の運転手や、人通りの少ない道路に立っているガードマンまでマスクをしているのに驚かされた。

 おそらく会社で決まったことで、皆それに従っているのであろうが、客に接する車掌さんなどはマスクをするべきであろうが、閉鎖された運転席で関係者以外には立ち入ることも出来ない所で運転手が運転をする時までマスクをする必要があるであろうか。

 会社で決められたことを忠実に守るのは悪いことではないが、人によっては、マスクをすると窒息感があったり、眼鏡が曇ったりして困る事があることも考慮すべきであろう。もう少し科学的な判断をしてきめ細かく決めたら良いのではなかろうか。

 人通りも殆どない工事現場に近い道路に立ったガードマンが、しっかりと白い大きなマスクをして立っている姿は何としても異常に見えて仕方がなかった。

 中国での新型肺炎の発生地である武漢を中国政府が街ごとブロックしたそうだが、1100万都市で大変なことだろうと思ったが、それ以前に既に500万からの住民は武漢から逃げ出してしまっていたとか聞いて、さすが日本とは違うな、日本だったら、同調主義やら、長い物には巻かれろで、住民はまるまる閉じ込められてしまっていたことであろうと思われた。