ドラッグストア

 1960年頃、アメリカに行った時、ドラッグストアの多いのにびっくりしたことがあった。当時は日本にはまだドラッグストアなるものはなかったので、初めはドラッグストアはイコール薬局と思ったので、日本では薬局など、そんなに多くないのに、まさかアメリカ人が薬を余計に使うわけでもなかろうに、どうしてこんなに多いのか不思議に思ったことを思い出す。

 もちろん、住み慣れるうちに、すぐにドラッグストアが薬局ではなく、薬も売っているが、他の化粧品や日用品も売り、飲み物まで扱っている所もあることがわかり、どこにでもある便利な商店であることを知り、よく利用するようになったものである。

 ところがどうだろう。最近の日本では、いつしか当時のアメリカ以上にドラッグストアの大流行である。私の住んでいる池田でも、駅周辺には軒並みといってもいいほど、ドラッグストアが並んでいる。大きなチェーン店が競争しているし、もう少し小さなチェーン店から、昔ながらの個人経営と思われる店まで、沢山の店が群がっており、あれで皆何とかやって行けるのか心配になるぐらいだが、見るとどの店もレジに人が並んでいるから、結構いけているのではなかろうか。

 大阪の市内へ行くと、競争はもっと激しいように思われる。ここでは中国はじめとする観光客の奪い合いのようである。心斎橋など、どんどん新しい店が増えて、今では大きな店が隣り合わせで張り合っている。どの店も一杯客が入っている感じである。

 普通のやり方では競争に勝てないので、色々工夫もしているようである。朝まだどの店も開いていないのに、ある店の前だけに、既に何人もの人が開店を待って並んでいたのを見たこともある。何かの特別な売り物の広告をSNSにでも出したのであろうか。

 扱っている商品も薬だけでなく、化粧品から洗面用品、雨やクッキーなどの食品などと幅が広い。ある日、ビオフェルミンを買おうとして、ドラッグストアでの店員さんに置き場所を聞いたら、「クスリはこちらです」と案内してくれたのには驚いた。

 最近のアメリカの事情は詳しくないが、少なくとも私が知っていた頃のアメリカのドラッグストア」より、今の日本のドラッグストアの方が数も多いし、大掛かりのようである。

 それにしても、スーパーもコンビニもドラッグストアもかなり重なった商品を扱っていて、競合も激しいようだが、これらは将来どうなっていくのであろうか、行く末が興味深い。