韓国への嫌がらせはやめて、もっと堂々と振舞って欲しい。

 新聞によると、政府は1日、半導体製造などに使われる化学製品3品目の韓国向け輸出手続きを厳格化すると発表した。輸出契約ごとに政府が審査・許可する方法に切り替え、事実上輸出を制限する。今後他の品目にも制限対象を広げる方針で、半導体を主要産業とする韓国にとって大きな打撃となる。

 何か経済的な問題でそうなったのかと思ったら、そうではなくて、韓国最高裁が日本企業に韓国人元徴用工への賠償を命じた問題で、解決に向けた韓国政府の行動を促すため、事実上の対抗措置に踏み切ったのだそうである。

 政治的な問題の解決に、経済的な嫌がらせとも思える報復措置をするのはいかにも品がない。堂々と政治的に渡り合って解決の道を見つけるべきであろう。まるで子供の喧嘩のようではないか。

 外交問題の解決手段として輸出制限措置を取る手法は、日本がG20などで提唱してきた自由貿易推進の方針に逆行することにもなる手段である。当然の反応として、韓国の成允模(ソンユンモ)産業通商資源相は1日、「世界貿易機関WTO)への提訴をはじめ、国際法などに基づく必要な対応措置をとる」と反発したそうである。

 TVのニュースでは、菅官房長官は元徴用工問題の対抗措置ではないと言っているが、それ以外の理由は説得力がない。政治問題としては国連に訴える方法などもまだ残されている。戦時中の問題はまだまだ話し合う余地ある問題である。

 政治的な手段を残したまま、経済的な手段で相手に打撃を与えようとするのは、返って韓国との信頼関係を損ね、相互の不信を増強し、問題の解決をより困難にするのみでなく、隣国同士の友好関係にまで末長く悪影響を来たすことになるであろう。

 もう少し賢明な外交政策で臨むべきではなかろうか。あまりにも稚拙な外交に心を痛めざるを得ない。