トランプ大統領だけは伊丹から

 大阪でのG20開催のため、世界の20ヶ国もの首脳が次々と関西空港から大阪へやって来た。警備のために、高速道路は閉鎖されるは、警察官は全国から3万人も集められるなど大変であったが、アメリカのトランプ大統領だけは他の首脳らと違って、伊丹空港を利用して大阪入りをしたようである。

 関西空港より伊丹空港の方が大阪に近く便利だが、こちらは今は国際線の直接の乗り入れをしていないので、他の国の首脳らも当然のごとく、関西空港を利用したのであろうが、どうしてトランプ大統領だけは伊丹空港を利用したのであろうか。

 理由はわからないが、おそらくアメリカの都合で決められたものであろう。アメリカだけが自由に伊丹空港を利用する事が出来るのである。一般には伊丹空港は騒音対策から夜は9時以降の離発着は禁止されているが、アメリカだけは別なのである。

 在日アメリカ軍日米安保条約によって、日本政府の同意がなくても、日本国中のどこの空港でも利用出来ることになっているのである。当然、そのアメリカ軍の統括機関であるアメリカ政府も日本の空港ならどこでも好きな時に好きなように利用できるわけである。

 そうすれば伊丹の方が関西空港より便利だということになったのではなかろうか。大統領が利用する前夜には、アメリカの大型輸送機が2機も、時間制限を無視して、深夜に伊丹空港に着陸し、大統領用の車や必要物資を下ろして準備したようである。

 今回だけでなく、アメリカ大統領が日本を訪問する時には、前回は羽田空港を利用したが、多くは横田基地を利用し、そこからヘリコプターで東京に飛ぶことが多い。横田基地ならアメリカの支配下にあるので、まだアメリカの国内と同じなのである。

 日米安保条約によるアメリカの日本支配をまざまざと見せつけられる事実であるが、今回のG20でも、トランプ大統領は両国の関係をその行動によって、はっきりと示したことになったわけである。

 日本ではこのような両国の不平等な関係をことさら隠し、「アメリカのため」を「国際貢献のため」などと、対等の関係のように取り繕っているが、どうしてもあちこちでその馬脚を表さざるを得ないことが多い。

 沖縄はその頂点のような問題であるが、国民が正しく物事を判断出来るようにするために、もう少し正しい事実をありのままに国民に知らすべきではなかろうか。