天下の賊

f:id:drfridge:20190331162338j:plain

 朝日歌壇の投稿句に

「ことごとく民意をないがしろにして真摯に寄り添うトランプさんに」(近江八幡市)寺下 吉則

というのがあった。密かな多くの国民の思いがよく表現されているのではなかろうか。

 沖縄の住民のそれこそ長年にわたる切実な思いに、事あるごとに「真摯に民意に寄り添っていきたい」と繰り返しながら、辺野古の工事にしても、反対の民意がはっきり表明されているにも関わらず、一時中止して話し合いの機会さえ持とうとせず、既定方針通りに工事を進めるのは、誰の目から見ても、あまりにも冷酷で、高圧的な態度と言わねばならない。

 言葉と行為は真逆である。「日本語を知らないのか」とさえ言いたくなる。「寄り添う」という言葉の意味が「ぴったりと体を近づけ、相手の立場に立って考え行動すること」であることをしっかり理解して発言し、言ったことには責任を持って欲しいものである。

 沖縄問題以外でも、森友、加計学園の問題でも、忖度をさせても、自ずから責任を取ろうとせず、公文書の改ざんなどについて追求されても覚えていないと逃げ、社会保障は削り、国民の所得の統計はごまかし、消費税増税を果たそうとしている。どう見ても、国民の暮らしに寄り添って政治をしているとは思えない。

 ところが一方、同じ首相がアメリカに対しては、国民が情けないと想うぐらいに、いつもアメリカに寄り添っているのである。3年前の選挙で、トランプ大統領と決まれば、早速に就任前に飛んで行って会い、一緒にゴルフをしたかと思えば、言われるままに大量の兵器を買って軍備を増強し、トランプ大統領ノーベル平和賞に推薦するまでに至っているのである。

 幾ら何でも少しやり過ぎだと言われんばかりに、それこそ寄り添って、色々忖度してまで諂っている。日本の首相というより、アメリカの植民地の出先機関の長のようでさえある。

 祖父が戦後に、正力松太郎笹川良一などとともにアメリカのCIAの協力者であったことがアメリカの資料で明らかになっているそうだが、その一族である安倍首相も、ひょっとすると同じ穴の狢なのであろうか。かって自民党の幹事長を長らく務めた後藤田正晴氏「安倍晋三だけは首相にしてはいけない。岸の血を引いているから」とか言っていたのもそこらの事情を知っていたからであろうか。

 安倍首相と同じ山口県出身の、幕末の志士吉田松陰は初めに掲げた図にもあるように言っているが、時代は違うが、まるで松陰は安倍首相を指して言っているように見えるではなかろうか。