従属国の接待

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 トランプ大統領が来日して、千葉で安倍首相が一緒にゴルフをした時の写真らしい。安倍首相の目はどう見ても、トランプ大統領のご機嫌を伺っている目付きである。

 ゴルフだけでなく、経済界の首脳らと会見、大相撲見物、優勝杯授与、料亭での接待などをし、次の日には皇居での国賓としての接待や宮中晩餐会など、今回のトランプ大統領の来日に関しては、安倍首相が計画して、最高級のもてなしをしたのではなかろうか。

 4月に安倍首相が訪米し、6月にはG20トランプ大統領の来日が決まっているところに、わざわざ無理をして国賓として招待し、3ヶ月続けて会うというのは普通ではない。ここでサービスをして点を稼ぎ、懸案の貿易問題を少しでも有利にしようという魂胆なのであろうか。天皇を利用することなど当然のことであろう。

 しかし、折角の機会での政治や経済問題に関しては、首脳会議の共同声明も出さず、トランプ大統領が一方的に、貿易の偏りを指摘し、「7月の日本の選挙が終わったら軍事や農業分野などでの大きな進歩が見られるだろう」と言って終わった。果たして効果があったかどうかは疑わしい。

 新天皇即位後の、最初の外国首脳としてのこの上ない接待に、トランプ大統領は「日米は世界で最も緊密な同盟」と言って答えたが、今後の交渉がこれに影響されることはないであろう。トランプ大統領の発言からすると、安倍首相との間で既に密かに大筋が決まったのかも知れない。

 如何に日本側がきめ細かい配慮をしても、アメリカ側からすれば、従属国への訪問である。日本への到着からして、今回は羽田空港を利用したが、前回はアメリカが支配している横田基地に降り、そこから先が漸く日本なのであった。

 今回の国内の移動も、ゴルフ場への移動は六本木の米軍ヘリコプター基地を使っての米国の支配下での移動であり、帰り際も、横須賀軍港の米軍を訪れてから帰国するという、日本の中でも米国の統治下での移動である。

 このトランプ大統領の接待のためにどれだけお金がかかり、どれだけの社会的な制約があったことであろうか。動員された警察官だけでも2万5千人と言われるし、関連費用をまとめると一体いくらくらいになったのであろうか。相撲見物のためにも、特等席の枡席に特別席が設けられ、周囲をSPで固められ、一般客は持ち物検査をされ、自動販売機は停止されたとかである。

 それぐらいは良いとしても、戦闘機105機を買うことも決まったとか言われる。いくら何でも、それだけのお金があるなら、貧困対策や老人対策など優先的に使うべきところはいくらでもあるのにと言いたくなる。

 このようなトランプ大統領の訪日を見ても、日本が未だアメリカの従属国であるという実態をまざまざと見せつけられた。憲法改正で喜ぶのは、自衛隊を前線の傭兵として使えるアメリカであり、日本人が望んでいるのは憲法改正より、地位協定を改正して真の独立を勝ち取ることであろう。