大阪芸大アートサイエンス学科の新校舎

 

 

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大阪芸大アートサイエンス学科

 数日前、その日は特別な用事もなく、天気も良かったので昼頃急に思いついて、大阪芸大のキャンパスを見学に行った。

 昨年の12月に、ブリッカー賞などに輝く有名な建築家の妹島和世氏が設計して建てた新しい建物が大阪芸大に出来たことを思い出したのであった。

 大阪芸大は、同じ大阪府内にあると言っても、南の富田林に近い所にあるので、不便な所だし、行くにはかなり時間がかかるだろうと思って、これまで先延ばししていたのである。

 今回はそれを考えて、早昼を食べて早々に出かけた。阿部野橋までは問題がないが、その先の近鉄南大阪線は急行、各停、色々あるだろうが、かなり遠い所なので、どう行くのが良いか不安だったが、阿部野橋から吉野行きの急行があるからそれで古市まで行き、そこで乗り換えて河内長野行きに乗ると良いと駅員が教えてくれたのでそれに従った。

 丁度、2−3分後に急行が出るところだったのでそれに乗ったが、何と古市までノンストップなのである。古市と言えば、昔は随分遠い感じの所だったのでびっくりしたが、便利になったものである。

 古市に着けば、大学の最寄の駅である貴志はもう次の駅である。駅からは大学のシャトルバスが送ってくれる。思っていたよりはるかに早く、家を出てから1時間少々で着いてしまった。

 大学見学の先ずの目的は言うまでもなく、妹島氏の設計になるアートサイエンス学科の建物である。どこにあるのか心配するまでもなく、大学のある丘へ上がった大学の入り口に面した所にあり、新聞で写真を見ていたのですぐにわかった。

 あらかじめ大学のホームページで調べた時には、まだその建物についてはキャンパスの案内地図にも載っていなかったので、どこのあるのかわからず、ひょっとしたら少し離れた所にでもあるのかも知れないと心配していたが、全く杞憂に過ぎなかった。

 流石に妹島氏の設計だけあって、素晴らしいユニークな建物である。同氏の設計による金沢の21世紀美術館の建物よりも気に入った。

 妹島氏によると、丘の起伏に合わせた三次元の空間と一体化した建物で、設計に際して「建てる」というより如何に「ランディング」させるかと考えた由である。ガラス張りで内と外が繋がり内外の交流をも考えた、21世紀のクリエーターのためのスペースとして作られたようである。

 建物の中へは入れなかったが、今まであまり見たことのない本当にユニークな構造で、緩いカーブの続く流線形の三層の建物になっており、周りは全てガラス張りなので、つい誰もが中へ入ってみたいと思うのではなかろうか。

 ここの主になるアートサイエンス学科については、東京のお台場のチームラボの猪子寿之氏も客員教授になっており、恐らくチームラボにような空間映像のような科学的な計算に基づいた表現などが研究の対象となるのであろうが、新しい試みにふさわしい新しい器になるのではなイカと期待された。

 ただ要らぬ心配だろうが、あまりオープンな感じの変わった建物なので、この中で落ち着いた研究が出来るような空間があるのだろうかとふと思った。

 このアートサイエンス学科の建物を見てから、あちこちの建物も見て回ったが、15学科もある由で、キャンパスは思いの外広く立派であった。映画館もあるし600人も収容できる大劇場もある。音楽が聞こえてくる建物もあったし、塚本英世立記念館という優れた建物もあり、中にパイプオルガンが壁面を埋めている空間も見られた。

 その他にも芸大だけに、他の建物にも色々工夫の跡が見られ、総合体育館と称する大きなモダンな建物には、円形のガラス張りの回廊のような所もあり、ここも斬新な建物であった。

 一応見学を済ませ、学生食堂を覗き、その隣の喫茶室で休んでから帰ったが、帰途も大学のバスで駅まで出、往きと同じように古市から急行で阿部野橋までスムースの戻ることが出来、帰宅して時刻を見るとまだ4時前であった。実に4時間ぐらいで往復したことになる。

 昔戦後すぐの頃に富田林の郊外に疎開していて、近鉄を利用していた時期があったが、その頃は阿部野まで出るだけでも1時間以上はかかったのではなかろうか。河内天美だとか藤井寺、道明寺、古市とかを通って富田林まで行くには随分遠いイメージだったので、今回のように速く行けるのにびっくりした。

 思いがけない楽しい経験をさせて貰って、なお、ゆっくりした夕刻を過ごすことが出来たことを喜んでいる。