大坂なおみ選手の優勝おめでとう! 

 テニスの4大選手権である全豪チャンピオン選手権大会で大阪出身の大坂なおみ選手が見事に優勝した。試合の中継を見ていて、初めは3位にでもなれば目出度いことだと思っていたが、本当に優勝してしまった。先ずは心からおめでとうとと言いたい。

 全米の大会で優勝してからにわかに有名になり、いつしか日本の代表選手になって注目を浴びるようになったが、お父さんがハイチ人の混血で、アメリカの生活が長く、英語が主言語で、日本語は一般の日本人ほどうまくないので、初めの頃は本当の日本人ではないと言われたりしていたが、今回の優勝ですっかり日本人とされて、新聞でも今度の優勝を一面トップで伝えるような有様である。

 ただ少しきになるのは、北海道に住んでられる祖父はテレビに出るが、お父さん、お母さんはどこに住んでれれるのか、全く報道もされないことである。また、スポンサーの日清食品が広告に彼女に写真を利用したが、わざわざ肌を白くしてのせ、外国からもクレームがあり、その広告を廃止したようなことも起こっている。

 世界選手権で自国の選手が優勝することはその国民にとっても喜ばしいことであるが、テニスなどはあくまで個人の競技であり、国として争うものではない。大阪選手が優勝したことは喜ばしいことであり、その彼女が日本の出身者であることはその喜びを倍増するものではあるが、決して国家を代表して戦っているわけではない。

 テレビで試合を観戦していると、競技場で日の丸の旗を振ったり、必勝と書かれた日の丸印の鉢巻を巻いて応援している人の姿をわざわざ大写しにして見せていたが、彼女は日本のために戦っているのではない。自分のためにテニスをしているのである。彼女の名前が優先すべきである。

 日本の観戦者に認識しておいてもらいたいのはこの点である。来年のオリンピックを控えて、スポーツを国威発揚に利用しようという傾向が強いからである。今から「ニッポン、ニッポン」の声が聞こえ、日の丸の旗がちらついてくる。

 オリンピックでも、日本の選手にぜひ頑張って良い成績を収めて欲しい。しかし、それはあくまでも出場する選手の栄光を期待するものであって、日本という国が「金が幾つ、銀が幾つ」という競争ではない。あくまでも選手個人に対する応援である。オリンピック委員会も国威発揚への利用を批判している。

 国家の選手などに対する奨励金もあくまでも選手や競技そのものに対するものであって、国威発揚を通じての国家への貢献を期待するものであってはならない。スポーツはいずれもあくまで個人レベルのもので国家が介入すべきものではない。

 これを確立しておかないと、選手に要らぬ圧力をかけることになり、選手の実力発揮への障害にもなる。選手の成績如何によって、国民の選手に対する人間としての評価まで変わりかねないからである。

 大坂なおみ選手もそうだが、その他にも今や大勢のの混血の選手が日本人選手として寄与するようになっているので、ともすれば偏狭な民族主義に走りがちな国民世論があるだけに、注意が必要だと思われる。

 現に、相撲界でも、「日本人力士」と「日本出身力士」が区別されている社会である。大坂選手も「本当の日本人か」と言われたり、写真で肌の色を白く変えられたりしていることが起こっている。

 成績が良い時は日本人として褒められ、そうでなければ本当の日本人から排除されるようなことが起こらないように、日本国籍があれば、どんなに個人差があっても同じ日本人として皆を同じように受け入れることがスポーツにも必要であることを認識すべきである。

大坂なおみ選手がこれからも日本の選手として活躍し続けられるようにテニス以外の日常生活が自由に暮らせるような環境を維持してあげて欲しいものである。