危ない子供の喧嘩

 自衛隊機に対する韓国軍艦のレーザー照射事件が、ただでさえ戦時中の徴用工や慰安婦問題でこじれている日本と韓国の関係を難しいものにしている。

 レーザー照射問題の日本側の主張が仮に正しいとしても、こういう軍隊同士の現場での小さなトラブルは、二つの軍が同じ場所でそれぞれ勝手に行動してれば、必ずと言って良いほど起こりやすいものである。

子供の喧嘩のようなものであろうが、お互いに武器を持っているだけに放置は出来ない。慎重に対処しなければならない。

 しかし、多くは両軍の責任者同士で話し合えば解決しうる問題である。いきなり外交問題にするようなものではない。旧自衛隊の指揮官であった田母神氏も、このようなことはよくある事で、大きな問題ではないと言っていたぐらいである。

 それを今回はどうも日本の上層部が焚き付けて突然外交問題にしてしまい、河野外相を急遽韓国に派遣して抗議させたのが始まりだったとか言われている。

 一旦外交問題となれば、双方の国とも面子があるので容易には引き下がれなくなる。これが相手がアメリカであったらどうだったのであろうかと思う。どうしてアメリカに対しては沖縄の問題一つにしても、あれだけの民意の反対を無視してまでも、何も言えない日本政府が、韓国に対してはどうしてこう傲慢に振る舞うのであろうか。

 韓国に対しては、日本は長年の植民地支配で、ずいぶん迷惑をかけているのである。ドイツなどでは、今も移民がドイツ国籍を取る際にも、過去の加害の歴史まで知ることを要求しているぐらいに過去の誤りに謙虚になっているのである。

 加害は忘れやすく、被害の記憶はいつまでも残るものである。更に、韓国が”恨”の国であることを知れば、尚更、過去について謙虚であるべきであろう。国民感情は条約で法的に片付ければ、それで終わりという訳にはいかない。

 今回の日本政府の対処の仕方を見ていると、その根本的な配慮が誤っていることが、問題をこじれさせた最大の問題ではなかろうか。そういうことに、気づいていないのか、気づいていていながらあえて無視しようとしているのか、どちらかであろうが、もう少し慎重に行動すべきではなかろうか。

 将来を見越した近隣国との友好関係を考えるならば、細かいトラブルの直接の原因解明よりも、その背景にある歴史的な問題をいかに解決していくかが問われているように思われる。