愛国者とナショナリストの違い

 フランスのマクロン大統領は第一次世界大戦終戦100年の式典で「ナショナリズム愛国主義への裏切りだ」と演説。「自国第一、他国軽視」を「国家に大切な道徳的価値観を捨て去る振る舞い」といったそうである。

 日本ではSNSなどを見ていると、安倍内閣の批判などの対して、いわゆるネトウヨなどから一斉に反日だという声が上がるようだが、ナショナリズムは国民の統合に楔を打ち込むようなもので、政府への批判のない民主主義は考えられない。色々な多様な意見が出て、それが議論され、集約されていく過程で民主主義は成り立つものである。

 アメリカでトランプ大統領を批判することを愛国的とした回答は民主、共和の支持者共に6割を超えているそうである。

黒人作家のJames Arthur Baldwinは「世界のどの国よりも米国を愛するのと同じ理由で、私は米国を断固、批判し続ける」と言っている。

 政府を批判しない愛国者はいない。政府の批判を知らず、政府への同調のみを煽るものはナショナリストであって、愛国者ではない。ナショナリストNationalistと愛国主義者Patriotの違いを知るべきである。

 故郷を愛し、国を愛すればこそ、道を誤らせないために、批判が起こるのであり、批判のない愛国などあり得ない。

政府は国民が愛せる国にするためにこそ、国民の声に耳を傾け、外からの強い誘惑にも負けず、自分たちだけの利害に振り回されず、真に国民のための政策を進めるべきであろう。