最近の政府は思慮が浅いのでは?

 最近の二つの出来事を見て、政府の行動に何か危険な兆候が読み取れるような気がする。

 一つは韓国の駆逐艦が日本の哨戒艇に火器管制レーダーを照射した件である。これはもう戦闘寸前の行為だとして、早速に外務省の高官を韓国に派遣してまで抗議をしているが、少し高圧的なやり方ではなかろうか。実害があったわけでないし、こういう話は、初めから色々なことに影響する、派手な外交交渉に載せるのではなく、まずは当事者である軍同士で静かに話し合って、解決法を探るのが順当なやり方であろうと思われる。

 いくら危険な行為だと言っても、韓国との関係が、徴用工問題などで微妙な時期に、わざわざ初めから高圧的なやり方で対応するのは、問題の解決どころか、相手を怒らせて問題をこじらせ解決とは反対のことになるであろうことは素人でもわかる。それに事態の本質についても、先ずはもっと詳しく分析してから、行動に移すべきだったであろう。

 元自衛隊の空幕長であったパリパリの右翼の論客である田母神氏が、韓国の駆逐艦のようなやり方は普通に見られるもので、危険ではないと言っているぐらいだから、慌てて抗議しなくても、もう少し慎重に検討してから、行動に移すべきだったのではなかろうか。案の定、韓国側の感情を逆撫でするような結果になっただけで、何も得られるものはなかったようである。

 隣国との平和共存ほど大事な外交はないのに、それをこちらからわざわざ潰しに行ったようなものではないかと思えて仕方がない。もう少し賢明な方法を考えないと、他の場合でも、適切な外交による平和共存路線が難しくなるのではなかろうかと素人ながらに気になる。

 もう一つは、国際捕鯨条約(IWC)からの脱退である。SNS に戦前の国際連盟からの脱退と並べて乗せているのがあったが、国際的な問題であるから、もっと慎重に検討してから判断するのが当然ではなかろうか。

 これまで、国会でIWC脱退が議論になったということを聞いたことがないし、新聞などでも、この問題について色々議論が交わされたという記事が出ていたようなこともない。しかも、今鯨肉を急いで確保しなければならない事情もない。

 日本が商業捕鯨再開を提案したのが受け入れられなかったからといって、急いで撤退する必然性はないであろう。もう少し国内的にも国際的にも議論を重ね、種々な影響をも考慮して判断するべきだったのではなかろうか。何か鯨業界の政治家の影響によって決められた感が強い。関係国に丁寧に説明して理解を求めるというが、それは脱退より前にすべきことではなかったのであろうか。

 このようなな記事を立て続けに見せられると、この国の外交姿勢はいつからこのように傲慢になったのかと不審に思わざるを得ない。あまり強引なやり方が続くと、この国はまた戦前のように国際的に孤立して行く道を歩むことになるのではなかろうか。アメリカについているから安心だとはもう言えない時代が始まっていることにも気を使うべきであろう。

 近隣諸国を始め、世界の国々と平等で平和的な友好関係を築くことが、軍備以上に安全保証上も大事なことである。その道を確保して、将来の日本の安全を考えるならば、このような思慮に欠ける行動を極力慎み、物事をもう少し慎重に考えて行動して欲しいと願うのは私だけではあるまい。