熊本市議会でのことである。女性議員が演壇にあがって演説しようとした時、風邪を引いていたので咳止め飴を舐めていたのを、議員たちが問題にし、議会の品位を汚す行為だとして懲罰委員会にかけ、議場から追い出したという報道があった。地方議会での出来事とはいえ、今だにそのようなことがあるのかと、呆れ返ったのは私だけであるまい。
丁度、それを知って誰かが流したのかも知れないが、SNSにはイギリスの党大会で演説していたメイ首相が急に咳き込んだのを見て、近くにいた財務大臣がのど飴を提供し、首相が財務大臣なののタダでくれたと冗談を言って演説を続けた動画を見たところであった。
その熊本の女性議員は、昨年だったかに長男の赤ん坊を議会に連れて来て非難され、一時議事の進行がストップするという問題を起こした議員であった。ところが、その時の結末は、女性の活躍が期待されている世の趨勢もあって、国内ばかりか、海外からも議会の方が返って批判を浴びる結果になっていた。
恐らく、それが尾を引いているのであろう。今だに”九州男子”?などと思っている男社会の議員仲間の陰に篭った怨念のようなものが底流にあったのに違いない。そうでなければ、咳止めにのど飴を使っているのを、規則にもないのに「ルールはルールだ」「議会の品位を損なう」などと言ったりして、懲罰まですることはあまりにも子供じみた行為で、議会の態度として考えられない。
これは今だに昔ながらの”むら社会”の雰囲気が残っていて、それになじまない輩は排除したいという議員たちの起こした”村八分”であり、いじめである。議会の品位と言うのであれば、国会同様、議場で居眠りしている議員もいるだろうし、それより、このような些細なことを取り上げて大騒ぎすることの方が品位を傷つける行為ではなかろうか。
この国には今だに古い”むら社会”の伝統が牢固として残っているようで、それが時々あちこちで問題を起こしているようである。政治家の世界もそのようだし、最近問題となったスポーツの世界や、貴乃花親方の相撲の世界からの引退などを見ても、同じような遅れた社会を見せつけられる気がする。