安倍首相は憲法を守れ

 自民党の総裁選で安倍首相の三選がきまった。思ったような圧倒的な勝利にはならなかったようだが、この人の顔をまだ三年も見なければならないのかと思うと、正直うんざりする。

 自民党の総裁選で石破候補との討論会などで、安倍首相はしきりに憲法改正を主張していた。自衛隊が後顧の憂いなく戦えるようにするには憲法改正が必要だ、憲法を改正しないのは国会議員の責任放棄だというような事まで言っている。

 しかし、政府は国民の委託に答えて政治を行っているのであり、その基本は憲法によっているのであり、首相をはじめ公務員や国会議員は憲法を守らなければならないと憲法に明記してあるのである。

 第九十九条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と書いてある。

 首相としてでなく政党の総裁として言っているというのは言い訳にならない。総裁であろうと、首相は首相であり、同一人物を都合良く切り分けるわけにはいかない。憲法改正の発議は国民の側からなされるもので、政府が先頭に立って進めようとするのは明らかに憲法違反ではないか。

 憲法を改正したい側の論理では、憲法憲法改正の手続きを記した憲法96条で憲法は改正を予定しているのだから、首相が改正を主張しても構わないなどともしているが、法学者はどう解釈するのか知らないが、憲法改正は国民の側からの声が起こった時に対応するためのもので、素直に読めば、それが憲法99条に影響するとは思えない。99条は誰が読んでも、素直に読めば、政府や国会議員などが憲法を守る義務があると書いてあるとしか読めないのではなかろうか。

 その文面に国務大臣憲法を尊重し擁護する義務を負うと明記されているのだから、やはり尊重し擁護すべき首相が先頭に立ってそれを改正しようというのは、誰が見ても条文に違反しているとしか読めないのではなかろうか。

 法的に難しい論理をこねくり回しても、多くの人が素直に読んで素直に解釈出来ることが優先させられるべきではなかろうか。立憲民主主義によって憲法が国民によって政府を縛るものであるとすれば、首相がが先頭に立って憲法を変えると唱えることはどう考えても憲法違反ではなかろうか。安倍首相が発言を取り消すのでなければ、国民は首相を憲法違反で告発すべきではなかろうか。