鶯の当たり年?

 俳句などでは「夏鶯」という言葉もあるようだが、鶯といえば何と言っても春先のもので、これまで我が家の周辺では、今頃の季節に鶯の鳴き声を聞くことはまずなかった。ところが今年はどうしたことか、我が家の庭でも近くの山へ行っても、もう夏だというのに、いつまで経ってもホーホケキョの声が聞かれる。

 過疎化が進んだわけでもないし、周辺の山が荒れたわけでもない。駅の周辺にマンションがいくつもできたようなことはあるが、近くの自然環境が急に変わったというような兆候もない。

  グーグルで調べてみると、ホーホケキョと鳴くのは雄が雌に語りかける時のもので、伴侶が見つかり子育ての季節になると、お互いの合図に鳴くのはチュチュというような小さな声で、ホーホケキョのような明朗な声ではないそうである。 

 そうすれば、今年は何かの巡り合わせで鶯の当たり年で近隣の鶯の生息数がが増え他のであろうか。数が増えて、今だに適当な雌が見つからない雄がいて、今だに鳴いているのか、雌雄の比率が悪くて、あぶれた雄が多くなり、今だに伴侶を探しているのだろうか。

 あるい鶯は一夫多妻だともいわれるそうだから、次々と雌に逃げられて、此の期にまた新しい雌を探さなければならないのか、鳴き声ばかりで姿が見えないので、どんな事情なのか勝手に想像するだけである。

 それは兎も角、もう梅雨も過ぎて本格的な夏が来ようというのに、今だに毎日ホーホケキョの声を聞かない日はない。春のはじめは、まだ完全にホーホケキョとまでは言えない下手くそな鳴き声も聞かれたが、流石に近頃はどの声も最早完璧なホーホケキョの美しい声を聞かせてくれる。

 鶯の仲間の世界がどうなっているかは知らないが、蒸し暑く塞ぎがちな雰囲気の中でホーホケキョの声を聞くと、やはり何か清々しいものを感じさせてくれて嬉しい。スズメや椋鳥のように、ただ喧しいだけのものはいただけないが、ホーホケキョの声なら一年中時々聞かせてもらってもありがたい。

 ただ、平年と違う鶯の世界が、何かの異変で鶯が助けを示唆しているのであれば、何もしてあげられないだけに哀れである。