EQUALITYとEQUITY(平等と公平)

 

 SNSを見ていたら面白いカトゥーンが出ていたので、ぜひ広く知って欲しいと思ってここに乗せておきたい。下図のように塀の外から野球を見るのに大、中、小 の背丈の違う大人と子供に、同じように踏み台にする箱を提供する場合の図である。

 大人は始めから箱に乗らなくても観れるので、踏み台は不要であるが、中の背丈の大きな子供は箱の上に乗れば、丁度顔が塀の上に出るので野球を楽しめるようになる。ところが小さな子供は踏み台の箱を貰っても、まだ塀の上にまで届かないので役に立たない。大人にとっては不要な踏み台を借りて、二段積みにするとなんとか塀の上から野球を見ることが出来るようになった。

 右図のように背の高い大人にはなし、大きい子供には一箱、小さな子には大人の分を回して2箱提供すると、皆が同じように楽しく野球を観れることになるわけである。皆に均一な援助がよいのではなく、それぞれの人の特性に合わせた異なった援助をして、初めて皆が平等に野球を見る権利を持つことが出来ることを示している。

 世界は種々な人々から構成される多様性が大きな特性であるが、いろいろな行政の政策や措置などでは、えてしてこういった人々の多様性が無視されて、一律な措置で「やりました」という実績だけを得ようとしがちである。

 このカトゥーンは人々の同等な権利を守り、民主的で公正な世界のためにはEquality(平等)を守るだけでなく、一歩進んでEquitable(公正、公平)な政策を取ることがより大事なこと、EqualityとEquity(fairness)の違いををわかりやすく示しているのが興味深かった

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 このカトゥーンが面白かったので文章を添えてとっていたら、連休中の新聞に『女性専用車に「逆差別」主張という記事が出た。(朝日新聞2018年5月6日)

 それは『偏見やハンディを克服しようと特別な対応をすると、「逆差別だ」と言われてしまうことがある。憲法14条は「法の下の平等」と「差別の禁止」を歌うが、空気のように社会に残る差別が、見えにくくなってはいないだろうか。男女差別を例に考えた。』というものであった。

 そこでは、女性専用車に対し、「男性差別」「痴漢でない男性を締め出すのは憲法14条違反」というブログの書き込みがあったそうである。この人は公職や企業役員の女性を増やすため、一定割合は女性を登用する「クオータ制」にも反対するそうである。

 しかし、いまだに「女子供」と一緒くたにされることさえあり、ジェンダーギャップ指数が144カ国中114位の国で、財務次官のセクハラ問題が持ち上がったり、「女は土俵に上がるな」と言われたりして、どう見ても男女同権にはまだ遠い日本である。社会の公正、公平のためには弱者に対する施策を考えなければならないことがわかる。

 女性ばかりではない。心身の障害者、高齢者、LGBTなどの社会的な少数弱者に対してもきめ細かなそれぞれに対する対策を立てなければ、皆が同じような立場で生活する基盤が出来ないであろうことは、上のカトゥーンを見ればわかるであろう。

 嫌でも現実の社会は Diversity多様性に富んでおり、それが社会の発展の原動力にもなっているのである。全ての人が同じ権利を持って生活出来るようにするためには単に平等な施作で十分なのではなく、少数弱者に対するきめ細かい対策を取ることが必須だということを理解すべきであろう。

 そのためには、女性専用車も優先座席も車椅子もベビーカーも社会として受け入れるのが当然であろう。equality(平等)だけでなくequity( 公正、公平)が民主主義の基本であることを上記のカトゥーンも参考にして、理解を深めて頂ければ有難い。