カタカナ略語

 最近の日本語にはやたらとカタカナ語が多くなった。日本語を学ぶ外国人にとって一番難しいのは難しい漢字や熟語などではなく、カタカナ表示の日本語だそうである。最近のコンピュータ関係の言葉はほとんど外国語、主として英語を訳したカタカナ語だが、それ以外の普通の言葉にも外国語を訳したカタカナ日本語がやたらと増え、我々日本人であっても老人にはわかりにくくなるばかりである。

 漢字の熟語などであれば、漢字が表意文字なので、文字からある程度意味が推測できるので、詳しくはわからなくてもどういう関係の言葉なのか、多少は推測できることが多いが、表音に過ぎないかな文字となると、似たような言葉から推測するぐらいのことしかできず、それも時には全く違った領域の言葉だったりということにもなる。。

 外国語から翻訳されたカタカナ語でも日本的な発音を基にしているので、本来の英語を知っていてもすぐに意味がわかるとは限らない。面白い例を示せば、かの有名な女優のAudrey Hepburnさんは日本ではヘップバーンで通っているのに、明治の時代に来た同姓のDr. James Curtis Hepburnは日本では全く違うヘボン博士と呼ばれて、ローマ字で有名である。同じ姓でもヘップバーンになったりヘボンになったりする。カタカナ日本語と英語は一対一で対応しているとは限らないのである。

 16世紀にポルトガルやオランダの宣教師などがもたらした言葉で日本語に定着したものや、庶民の俗語などでカタカナで書かれているものなどは、すっかり日本語の中に溶け込んでいるから、子供の時から自然に身についているので良いが、近年、といっても多くは戦後になって、入って来たカタカナ語はまだすっかり日本語になりきっていないものが多く、わかりにくいことが起こりやすい。

 ただでさえもそうなのに、最近はそれらの外国語から翻訳された日本語を、更に今度は日本流に省略した言葉を作ってしまうので、益々わかりにくくなってしまっている。始終こういった新しい言葉に慣れている若者にとっては何でもないことなのだろうが、そうでない人たちにとっては日本語でありながら、読めてもどういう意味なのかさっぱりわからない言葉が多くなってしまう。

 例えば次の10の言葉の中、どれだけ意味がわかるでしょうか。若い人ならともかく、そこそこ歳をとった日本人には中々難しい質問ではないでしょうか。

1.アイコ          2.クレカ          3.ケンタ

4.コスパ          5.スケブ          6.パシリ

7.フリマ          8.ポテチ          9.ラノベ

10.レスカ

 答えを見れば、なーんだと思われるでしょうが、いきなりこんなカタカナ語を突きつけられたら、簡単なことでも何の事かわからず戸惑ってしまうのではないでしょうか。

 それでも若者の間では、今もどんどんこのような言葉が大量生産され、大量消費される傾向にあるようです。もう50年も経てば一般にどんな日本語が使われるようになっていることでしょうか。英語ももっと浸透してくるでしょうから、アルファベットも入ってくるでしょうし、今よりもっとひらがな、カタカナ、ローマ字に漢字も混じった日本語の文章になるのでしょうか。

 我々のような今の年寄りには、全くといってもよいほどに意味の通じない日本語が書かれ、話されるようになっているかも知れない気がします。それでもそれらの文字を縦横に使って、新しい素晴らしい日本語になって行ってくれることを願ってやみません。

 

答え:1. アイスコーヒー  2. クレジットカード   3. ケンタッキーフライドチキン4. コスト・パーフォーマンス 5. スケッチブック    6. 走り使い

7. フリーマーケット    8. ポテトチップス    9. ライト ノーベル

10. レモンスカッシュ