知っていますか。水道法改正や種子法廃止。

 今年の春の国会は森友学園をめぐる籠池夫妻や安倍首相夫人、土地の不当な安値の売却に絡む財務省の答弁、稲田防衛大臣の関与の言い逃れ、共謀罪法審議における谷田法相の拙劣な答弁ぶりに続いて前例を見ない強引な採決が終わったと思ったら、今度は加計学園の問題での安倍総理や前川前文部次官、萩生田副官房長官を巻き込んだ国会でのやり取りなど、息を継ぐ間もないほど安倍首相や自民党の傲慢な政治運営が続き、それに豊田議員の暴力沙汰、下村議員のヤミ献金などが立て続きに起こり、国会が強引に終わったと思えば、引き続いて都議選。ここでも稲田望遠大臣の選挙法違反があり、選挙の結果は自民党の大敗となって多くの人が少しばかり溜飲を下げたところではなかろうか。

 しかし、皆がそれらにすっかり気を取られていた感じの裏で、思わぬ大事な法案などがこっそりと通ってしまっていることに気がついた人は多くはないのではなかろうか。SNSに誰かが書いているのを見て驚いたのだが、表記の水道法が改正され、種子法の廃止も決まったそうである。

 そう聞かされても何のことかわからないが、水道法改正は小泉政権時代に出来、民営化して外資も参入しやすいようにしたそうだが、一向に応募するものがないので、更に外資も入りやすくするように法改正をしたのだそうである。

 水道は住民の生活の根幹に関わる必需品であり、、民営化されて値上げされても断ることが出来ないものであり、本来公的に確保すべきものであるが、上下水道や農業用水、工業用水などを含み、全体としては30兆円にもなる巨大な市場ということである。

 歴史的には南米などでアメリカ資本が入り、ほとんどは水道代が上がり、あちこちの国で問題を起こし、ヨーロッパなどで一旦民営化下のをやめて、再び公営化するという所も出てきているそうである。

 日本でも、アメリカの圧力もあって、民営化促進の波に乗ったようだが、水道事業では水道管などの維持や設備更新、補修管理などに多額の費用を要するので、応募者がなく民営化が進んででいないそうである。そこで、今回は設備の補修や更新は自治体がすることにして運営だけを民間で行えるように法律を変えたのだそうである。

 そこまで税金を使って住民にとって不可欠な水道事業を民間に委ねなければならないのであろうか。生活の基盤となるものは当然自治体が責任を持ってやるべきものと思うが、そんなことが進んでいるようでる。

 また種子法というのは米麦や主な作物の優良な種子を保存する法律であるが、遺伝子組み換え技術によって経済的に有利な作物の種子を販売して多額な利益を得ようとするモンサント社の圧力で種子の輸入の自由化を押し付けられ、そのために国内における種子保護をなくすためのものだそうである。

 この種子法廃止はTPPにも含まれていたようだが、これには経団連の元会長の米倉弘昌の会社である住友化学が一枚噛んでいるようで、遺伝子組み換え植物栽培の時に必要不可欠とされる除草剤に住友化学のものが選ばれ、これがセットとなって売られるという独占体制になっているそうである。以前にモンサント社の除草剤が用いられてきたが、その特許が切れたので住友化学と組むことになったようである。

 例えばコシヒカリのような米の種子を国として保存してきたものを自由化し、モンサント遺伝子組み換えによる作物が自由に入れるようにするものである。それを考えに入れると自民党が初めTPP反対と言いながら後で賛成に回った経緯にも関係があるのではないかとも推察される。

 国民の目の届きにくい所で、どんどん自由化が進み、国民の安全な生活の確保よりも経済的な外資の支配がじわじわと国民の基本的な生活まで入り込み、それを脅かし始めているのではないか危惧される。

 平素あまり関心がないようなニュースにも、時々は気を使って注意深く政治の動向などを見ていくことが必要なことを教えてくれている。