国際的いじめ International Bulling

 今時、こんなことを言ったら皆の袋叩きにでもあいそうなことだが、北朝鮮の問題は、誰もあからさまには言わないが、私は以前からこれは言わば国際的ないじめとも言えるのではないかと思っている。最近フェースブックに同様な構図のカトゥーンが載っていたので私だけでなく、同じように感じている人もいるようである。

 アメリカを中心としたいわゆる国際社会からの北朝鮮の排除の歴史は古い。朝鮮戦争の時にアメリカが国連軍として戦い、停戦条約が出来ても完全な平和条約のないまま、法的には今も国連軍と北朝鮮は戦争状態を続けたままであることを底辺に考えなければならない。

 その後も韓国との関係は色々複雑であるが、核拡散条約に違反して核開発を続け、アメリカをはじめ周辺の六ケ國協議などの長い交渉を経ても、平和条約が結ばれないまま、今日に至っているわけである。そのため引き続いて米国を中心とする国連を背景とした諸国の圧力が続き、北朝鮮はそれに反発して孤立した独自の道を模索して今日に至っている。

 北朝鮮は一貫して金王朝独裁国家とも言える体制が続いており、昔の大日本帝国を思い出させて、私にとってはどう見ても好きになれない国であるが、そうかと言って国連も認め、世界の過半数を超える国が承認している独立国なので、嫌いであっても他の国と同様に対応しなければならない。

 ところで、核問題では核拡散防止条約によって五大国以外は核保有を許さないことになっているが、北朝鮮は条約から離脱しているし、五大国以外でもインドやパキスタン、それにイスラエルは核保有を認められているのに、イランや北朝鮮は許されないという不公平があることも知っておくべきであろう。

 しかも未だ平和条約をも結べていない相手のアメリカの近年の行動を見ると、朝鮮戦争ベトナム戦争から始まってアフガニスタンイラク戦争などアメリカの一方的な判断による国連を背景にしたり、出来なかったりの侵略戦争とも言えそうな戦争がずっと続き、アメリカに反対する勢力は武力によって潰されて来た歴史が見られるわけである。

 それを知れば、北朝鮮のような小さな孤立した小国が生きていくためには、武力で倒されないためには、無理をしてでも容易に潰されないだけの強力な武力を持って対応するよりないであろう。現にイラクリビアも力で滅ぼされてしまったではないか。北朝鮮がこれまで生き延びれたのは、地の利もあったが、核開発をし、強力な武力を持っていたからこそとも言えるのではなかろうか。

 ならば多大な犠牲を払ってでも核兵器やミサイルを開発して、敵が容易に手出しができないようにしておくことが唯一の生き残り策だと考えることになるであろう。北朝鮮の最近のミサイル発射も基本的にはその線上のもので、決して何処かへの攻撃を目的としたものとは考えにくい。小国が戦争を始めても最終結果は明らかであるからである。あくまで防衛のためのもの、生き抜くためのものであろう。

 それに対して国連を背景にアメリカを中心とした諸外国が寄ってたかって非難し、経済制裁をかけ、その上、原子力空母で砲艦外交のような脅しまでかけたりするから、ますます戦力を誇示しなければならなくなるのである。どう見ても国際的ないじめである。自体は少し異なるが、日本も満州国のでっち上げで国際連盟を脱退した時のことを思い出せば想像もつくのではなかろうか、

 もし北朝鮮が今の武力を持たず、韓国や日本の大きな損害の恐れがなければ、北朝鮮への実際の攻撃が行われたであろう可能性も高い。武力闘争の結果を想像すれば、現在の問題の解決は話し合いよりありえない。米国や「圧力、圧力」と騒ぐ日本は一所懸命に北朝鮮の核やミサイル開発の後押しをしているだけの結果になっていることを知るべきであろう。

 子供のいじめが問題になっているが、大人の職場におけるいじめや、このような国際的ないじめのことまで考えれば、いじめの根本的な解決がいかに難しいことかがわかる。