西国七福神めぐり

 正月の七日から九日まで三連休だったせいか何処も大勢の人出で賑わっていたようであるが、驚いたことに七日の朝、出かけ始めに近くの神社の前を通ると、まるで正月三ヶ日のように神社に出入りする人が多かった。

 まだ松の内には違いないが、もう七日なのにこんなに多くの参拝客を見るのは初めてであった。どうしたことであろうか。続々と神社へ行く人の流れを見て何か異様な気持ち悪ささえ感じたぐらいであった。

 例年であれば、三ヶ日を過ぎればいくら休日だと言っても、九日の宵えびすまでは人の足も遠のくものであるが、今年はどうしたことかと不審に思われたが、行く人たちを見ていると同じ紙を持っている人がちらほら見える。

 それから察するに、どうも小林一三が始めたらしいが、阪急宝塚線沿線の神社やお寺を連ねて『西国七福神集印めぐり』というのがあり、その七福神めぐりの案内のリーフレットか何かのようなものを持っているようである。この七福神めぐりは年中いつやっても良いわけだが、三ヶ日とえびす祭りを繋ぐために会社や神社が特別に宣伝しだしたのかもしれない。

 何でも、宣伝によると、大福帳を持って宝塚線沿線の7つの寺社仏閣に行って朱印を受け、神様フィギュアを集めると、阪急のサービスカウンターで阪急電車の置き台が貰えて、その上に集めた神様フィギュアを飾れるという企画のようである。早い人で4時間くらいで七ヶ所回れるらしい。

 曽根の東光院、萩の寺が毘沙門天蛍池の圓満寺が福禄寿、箕面瀧安寺が弁財天で西江寺が大黒天、中山寺が寿老神、清荒神布袋尊、そして池田の呉羽神社が恵比寿さんで七福神ということになる。

 もともとこの国の神仏信仰というものはキリスト教などの信仰と違って、信仰というより現生のご利益を願う神仏との取引に近いようなもので、神社やお寺に書いてある効能のようなものを見ても、家内安全、商売繁盛、学業成就、厄除け、火災よけ、縁結び、夫婦円満、安産子宝、水子供養、金運向上、開運出世など何でもありで、参拝客の需要に応じて変わり、昔は五穀豊穣、最近では交通安全、癌封じ、ボケ防止などまである。中にはあらゆる願望を叶えますという所まである。

  不景気が続き孤独な人が増えた現在のような時には、安直に願い事を聞いてくれる苦しい時の神頼みに走ることになるのであろうか。こんなに多くの人が正月過ぎの七日に呉羽神社にお参りしているのをみたことがない。九日にはすぐ十日恵比寿の宵祭りなので呉羽神社は笑いが止まらないかもしれない。

 それはともかく、七福神めぐりの宣伝があるとしても、三ヶ日の参拝客の混みようも合わせて考えると、ひところと違って最近は神社へお参りに行く人が増えたのは確かなようだ。今の世相と関係があるのは確かであろう。